TRPGシナリオ 配布場

クトゥルフ神話TRPGシステムを使ったシナリオを公開しています。一応グロ、精神グロ表現注意です

シナリオ公開にあたって

 

はじめまして、ayabumiと申します。このブログは私が製作したTRPGシナリオを配布・公開するために用意させていただきました。

今現在はクトゥルフ神話TRPGシステムを使用したシナリオを主に公開しています。

まだTRPGを始めて三年と経っていない初心者もいいところの人間ではありますが、グロ精神グロ大好き趣味全開のシナリオをいくつか製作しています。皆さまにも気に入っていただければ幸いです。

 

*シナリオの改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。
*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。
*掲載画像は当シナリオ利用セッションでのみ、引用転載可とさせていただきます。他用途には使用出来ませんのでご注意ください。


*シナリオに関する疑問等何かありましたら、この記事のコメント欄よりご連絡ください。

 

 *彩文(ayabumi)名義でツイッターもやっています。

@aya_bumi http://twitter.com/aya_bumi

 

 

風呂と触手と私

シナリオ名:風呂と触手と私 (ふろとしょくしゅとわたし)
製作者名:ayabumi

【はじめに】
こちらは《クトゥルフの呼び声》のTRPGシステムを使用した、ソロ推奨の30分リアルタイムプレイのクローズドシナリオです。初心者には向きません、何度かクトゥルフ神話TRPGを遊んだことのあるPL向きになります。
探索者が自宅の風呂に入ろうとしたら湯船から触手が脈絡なく飛び出てきたので、問答無用に浴室内で全裸のまま触手の攻撃に抗い逃げ続けながら打開策を見つけて生還を目指す、的な間違うことなくネタシナリオです。お気をつけください。

 

【推奨項目など】

・成人済み探索者を推奨。他性別性癖人種職種制限は特になし。継続探索者可。

・推奨技能は特になし。ただしDEXとSTRがそこそこな値でないと詰む可能性あり。

・このシナリオにおいて、入浴時に一般的に持ち込むだろう物以外の持ち物の所持を絶対に認めない。絶対にだ。

 

【時間経過について】

クトゥルフ神話TRPGに慣れたPLだと30分もいらないかもしれないが、基本30分リアルタイムの時間制限とする。

・KPは事前にこのシナリオはリアルタイムの時間制限だとPLに伝えること。

・浴室に探索者が全裸で足を踏み入れた時点(導入後)から時間制限を開始すること。

・触手のみの行動で前半10分、従者の行動がプラスされて後半20分の時間経過とするとわかりやすいだろう。

 

【シナリオ背景】

たまたまグラーキの従者たちが探索者の家の近所にある公園の池でグラーキ召喚の儀式をしましたが、生贄が足りませんでした。不満げなグラーキ様は偶然にも近くの水辺(湯船)そばに無防備な人間(探索者)を見つけて、自ら触手を伸ばすことにしました。従者たちはグラーキ様の行動に慌てて支援に走ったのです。

ただ、グラーキの従者たちの中に一人裏切り者がいました。《平凡な見せかけ》によって従者のふりをしている狂信者(魔術師)です。彼はグラーキを信仰こそしてはいましたが従者になる気はありませんでした、自分だけは助かりたい狂信者にあるまじき愚か者であったのです。

 

【導入】

探索者は夜勤明けか遊び明けか、または理不尽な悪夢を見て胸糞の悪い目覚めを迎えたか、何にせよ明け方際に自宅の風呂に入る。入るったら入る。

バスタブに湯を張って入浴剤でも入れるだろうか、良い加減に風呂の準備をこなした後に意気揚々と服を脱いで湯気があふれる浴室に足を踏み入れた。

だが、湯船を見下ろせば真っ黒だった。今し方入れた入浴剤の色とはまったく違う、濁った泥水のようなものがバスタブに溜まっていた。どうして、なぜとの疑問符をかき消すが如くにごぼごぼ、ごぼごぼと激しく泡立つ水面。そして次の瞬間、水面下から一本の触手が飛び出してきた。

*湯船の準備に際して、PLがイメージする浴室内の描写を明確にすること。 KPは浴室内にあるまじきものを造らせないよう注意する。

#せっかくの湯船が泥水化 SANc 0/1  

#突然バスタブ底から触手が飛び出してきた SANc 0/1d4+1

 

【グラーキの触手(棘)の行動】

触手は生贄を得ようと行動するため、このシナリオ内では探索者をグラーキの従者にしようとはしない。探索者を捕まえて水面下へ引きずり込もうとするだけだ。そのため、探索者が激しく抵抗したり予想外の行動を取ると様子を見たりする。

・このグラーキの触手の主なステータスはSTR15、DEX12、HP20とする。また、湯船から飛び出た分の触手のSIZは探索者と同値とする。

・グラーキの触手は30分の間に5回行動もとい探索者を5回捕縛しようとする。単純計算で6分1回だが、1回行動分のラウンド数はKPの采配次第で構わない。なお最後の捕縛行動は確実に探索者を捕らえる時間切れのお知らせなので、行動数に入れなくてもいいかもしれない。(*探索者が相対出来る触手の行動は実質4回になる)

・触手は以下の三つの行動をする。探索者の行動を受けてでも1d3のランダムでの行動決めでも構わない。

《攻撃》はたく、叩きつける行動:40% 1+1d3のダメージ

《捕縛》組みつく行動:25% 1ラウンド後に探索者を水面下へ引きずり込む。*STR対抗可

《様子見》動きを止めて、探索者の行動を見定める。

・触手はグラーキの従者には見向きもしない。生贄を欲しているため、浴室内に存在する生きている人間以外には興味はない。

・なお触手のHPが半分以下になると同ステータスの新たな触手が増える。2本になる。

 #触手は探索者を捕縛しようとしてるっぽい。マジやばい。マジこわい。SANc 0/1d3

 #せっかくHP削ったのに触手が2本に増えた。SANc 1/1d4

 

【浴室内で探索者が出来る行動】

浴室内にて全裸で出来る行動ならなんでも自由に、PLが考えうる限りに出来る。グラーキの触手から逃げ続けるもよし、浴室内にある道具で受け流しをするもよしだ。探索者のステータスや技能を使って、いくらでも抗ってみせろ。

・《回避》に振っていないまたは低い探索者は救済措置として、DEX×4で回避出来ることにする。

・探索者の行動には手持ちの技能成功によるプラス補正をいくらでもつけることが可能とする。これは触手に捕縛された時のSTR対抗にも同様である。(*《登攀》《跳躍》などの成功で人間にあるまじき動きをして触手の虚をつく、《投擲》で何か物を投げて触手の的を逸らすなど)

・触手に攻撃を加えることは推奨しない。HP20もある上に、半分以下になると触手は増える。KPはそれとなく示唆すること。

・もちろん探索者は浴室の外へ逃げ出すことも可能だ。ただし浴室外にはグラーキの従者たちがみっちりと集まっている。→【グラーキの従者たちの行動】

 

【グラーキの従者たちの行動】

グラーキの従者たちは探索者が触手に遭遇した後に探索者の自宅へぞろぞろと侵入してくる。浴室内には入らないが、浴室の外、脱衣場にまでみっちりと入ってくる。人数は自宅の広さにもよるが10+2d10程度が妥当なところだろう。

従者は探索者を浴室の外に出そうとはしない、無理矢理に逃げ出そうとするものなら数に任せて浴室内へと探索者を押し返す。

なお、浴室のドアを開けた先、探索者の見える範囲に必ずグラーキの従者に偽装した狂信者がいる。

・グラーキの従者のステータスはルルブの平均値準拠とする。姿かたちは薄汚いローブ姿だが全員フードは取り去り、アンデットのような顔を晒している。

・狂信者は不定の狂気《心因性四肢機能障害》を発症していて左脚が麻痺状態にあるために現在はDEX5、STR9とする。他性別ステータス技能値などはKPが決めても構わない。ただし狂信者のSANは不定の狂気発症値分だけ減らすこと。

・狂信者はローブ姿でフードを目深に被り、《平凡な見せかけ》をかけた仮面をつけている。当シナリオ内でのこの魔術の効果は『周囲から平凡な“同類”に見える偽装』とする。

 #自分の家の中にアンデットらしきもの(グラーキの従者)たちが大量にいるさまを見る。SANc 1/1+1d8

 

【打開策の示唆】

狂信者を身代わりにすれば探索者は助かる。グラーキの触手は生贄が欲しいだけであるし、グラーキの従者たちもグラーキが生贄を得れば主の満足に同調して去っていく。

・浴室のドアを開けた先で密集するアンデット(グラーキの従者)たちの中に一人だけローブのフードを目深に被った仮面の人物(狂信者)がいることに、探索者に気づかせる。《目星》使用でも野生の勘でもいい、KPは探索者に狂信者を見つけさせろ。

・狂信者を見つけた探索者は《アイデア》成功で「なぜ平凡な“人間”が平然とアンデットたちの中にいるのだろうか」と違和感を覚える。(*狂信者は《平凡な見せかけ》により従者たち視点からは従者、探索者視点からは人間に見える)

・PLが狂信者をなんとかしたらこの事態から生還出来る、と考えついたら上出来だ。STR対抗などを駆使して探索者が狂信者を浴室内へ引っ張り込めれば、触手が“浴室内の生きている人間”を生贄として捕らえるだろう。

 

【エピローグ】

「おい、やめろ!私は生贄じゃない!!生贄はこの人間―――ギャアアアアアアッッ!!!」

浴室内に響く怒声は次の瞬間、悲鳴に変わった。バキボキ、グシャリと人体を肉塊へ変える凄惨な音が轟く。血が、肉が飛び散る。触手に捕らえられた人間は力任せにバスタブにねじ込まれ、無理矢理に水面下へ沈んでいく。助けて、と聞こえた気がした。だがそれすらもゴボゴボゴボ…と水面に弾ける音にかき消された。

あとに残ったのは、ただただ静寂。いつのまにか従者たちは去り、探索者だけが一人たたずんでいた。全裸で。

浴室内は血まみれ、脱衣場は土足の足跡まみれ。バスタブに湯船はない、泥水のような淀んだ水が溜まっているだけだ。全裸の探索者は唖然と呆然とその惨状を見渡した。さて、これからどうしようか。

 #(KPの任意で)浴室の惨状に正気度喪失 1d3

 

【クリア報酬】

・正気度回復 1d6

 

【蛇足的な補足】

・当シナリオはソロ推奨ですが、複数人でもプレイは一応可能です。その場合同時多発的に各探索者の自宅の浴室で触手が出現し従者たちが殺到した事態が起こったとして、狂信者は探索者のうちの一人の家に行ったことにすればいいです。シナリオ製作者は一度PL5人で回しました。頑張れば出来ます。

・当初30分クトゥルフではなかったのですが、このシナリオ1時間もかからなくね?と気づいてどうせなら30分時間制限にしようとなりました。ですから、時間制限は別に無視して遊んでも構いません。好きに遊んでください、探索者を全裸で神話生物に対峙させたかっただけのシナリオですので。

 

【さいごに】

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。ネタシナリオなので全体的にかなり雑ではありますが遊んでいただけたら幸いです。

 

 

*シナリオの改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。


2018/12/15 シナリオ〈風呂と触手と私〉公開

 

とおりゃんせが聞こえる

シナリオ名:とおりゃんせが聞こえる(とおりゃんせがきこえる)

 製作者名:ayabumi

 

【はじめに】

こちらは《クトゥルフの呼び声》のTRPGシステムを使用した、現代日本前提のクローズドシナリオです。プレイ推奨人数は1〜3人、プレイ時間は三時間以内になります。

謎解きもない一本道シナリオですが、ロールプレイ重視でかなりのグロ・精神グロ、胸糞要素がありますのでご注意ください。

*このシナリオでは《クトゥルフの呼び声》《マレウス・モンストロルム》を参考にしています。

 

【あらすじ】

晦日の夜、探索者は意識を失い冷たい地面の上で目覚める。身体を起こすと、朱塗りの本殿と鳥居が見えた。どうやらここは神社の境内のようだ。どうしてこんなところにいるのか、探索者には覚えはない。見渡せば、境内からは千本鳥居の一本道が延びている。さて、探索者はどうするのか。

 

【推奨項目など】
・探索者の人種年齢性別職種などに縛りはない、学生探索者でも可能。
・探索者同士が友人知人である必要はない。合流せずとも一応のシナリオクリアは出来る。

・クローズドだが、シナリオ内で所持品制限はほぼない。携帯電話・スマホなどの通信機器の持ち込みも使い道はないが可能。(*ただし、飲食物は導入時に没収紛失される)

・推奨技能は《目星》《聞き耳》《医学》《言いくるめ》《回避》。《応急手当》《心理学》もあればいいが必須ではない。

・戦闘をしようとすれば出来るが非推奨。むしろ出来るだけ戦闘を回避したほうがいい。

 

【シナリオ背景・NPC紹介】

《佐倉 七奈(さくら なな)》

 今年7歳になる少女。年齢相応に子どもらしく、素直で明るく頑張り屋さんの女の子。

シングルマザーの母親のネグレクトにより餓死寸前となり、先に餓死した弟の遺体を食べて生き延びていたところを赤の女王(*ニャルラトホテプ化身)に目をつけられる。かの神に唆され母親を食い殺し、もっとお腹いっぱいになりたいと彼女が願ったので謎空間に招待された。

謎空間内では調理を担当。休憩処の厨房でムーンビーストが運んでくる材料(人間の死体)を調理し、せっせと肉入りごはんを炊いておにぎりを作っている。お客様用のおにぎりやお肉ではあるが賄いとして好きなだけ食べても構わない、と言われているらしい。

・探索者が出会う彼女はぱっと見、ボロ布をまとった小さなグールか餓鬼のようなバケモノの外見をしている。

・彼女の体格体力、知識知能などは五歳児程度を想定。

『STR5、CON3、SIZ5、INT5、POW5、DEX5、APP5、EDU3、HP4、SAN25、幸運25、アイデア25、知識15、回避10』

《製作:料理 60%》《噛みつき 50%/ダメージ 1+1d4》他KPが望む技能

*このシナリオ内において、NPC佐倉七奈に正気度喪失は適用されない。

 

【導入】

12月31日大晦日の夜、探索者は近所の神社へ初詣に向かうために自宅を出る。友人らと待ち合わせをしたのだろうか、または混雑を予想したのかその両方か早めに目的の神社へと向かう。

天気はあいにくの雨。冷たい小雨の中、探索者は歩く。吐く息は白く、指先はかじかんだ。もう少し厚着をすればよかったかと師走の寒さに凍えながら、道行きは自然と足早になっていく。途中、ふと目にとまったのは小さな赤い鳥居。奥には狐の石像を携えたこじんまりとしたお社が。こんなところにお稲荷さんなんてあっただろうかと思い返した刹那、探索者の視界は暗転し意識を失った。

探索者が目を覚ましたのは冷たい地面の上だった。辺りを見回せば、どうやらここはまったく見覚えのない見知らぬ神社の境内らしいと分かった。

*所持品の確認は自宅を出る時点ですること。飲食物を持っていた場合は意識暗転して境内で目覚めた後にもう一度所持品確認をして、持ち込んだ飲食物の類いが全てなくなっているとPLに認識させる。

(*このシナリオ内では空腹判定が最大7回発生するので、飲食物はなるべく持ち込ませないこと)

 #探索者が見知らぬ場所で目覚める SANc 0/1

 

【神社境内・境内周囲】

境内をぐるりと見渡せば、拝殿、拝殿裏に御神木、手水舎、由緒看板、石畳の参道の先に赤い鳥居が連なる道が続いていることが分かる。

・探索者が寝かされていたのは参道を外れた場所、冷たい土の地面だ。

・気温は暑くも寒くもない。探索者の周囲は音もなく、不気味なほどに静まり返っている。

・境内周囲や空は真っ暗であり、その先に地面があるかどうかも分からない。だが光源はないのに境内や拝殿内は昼間のように明るく、まるで境内が真っ黒な空間に浮かんでいるようだ。

*境内周囲の真っ黒な空間へ踏み出せば、浮遊感を覚えながら探索者の身体は落下して拝殿内の祭壇前、ムーンビーストたちの前に現れることになる。この際落下ダメージはない。→【拝殿】

 

【拝殿】:最短クリアへの道

 朱塗り木造瓦屋根の真新しい建築物。賽銭箱、鈴がある大きなお堂。一般的な神社の拝殿。外開きの扉に錠や閂はない。扉に近づき格子を覗くか扉を開かなければ内部の様子は分からない。

・拝殿内では20+(探索者数)匹の‪ムーンビーストたちが祭壇に祈りを捧げている。《目星》《聞き耳》程度で内部を探る程度、拝殿内に侵入しない限りはムーンビーストたちが探索者に気づくことはない。

・祭壇には一般的な祭具の他にエルダーサインが描かれた護符、のぞき込むとニャルラトホテプ本体と対面出来る神鏡が置かれている。祭壇に近づこうとすると‪ムーンビーストたちが襲ってくる。

*‪全てのムーンビーストを倒し、探索者が護符を手に取れば謎空間から即座に脱出。シナリオクリア(ノーマルエンド)。戦闘後に護符が焼けたり破けたりすると脱出不可。

 *ニャルラトホテプ本体と対面した探索者が発狂せず正気を保っていた場合、かの神は御札を手に取れば謎空間から脱出出来ると教えてくれる。

 #ムーンビーストを目撃する SANc 0/1d8

#大量の‪ムーンビーストを目撃する SANc 1d3/1d10

ニャルラトホテプ本体と対面 SANc 1d10/1d100

 

【御神木】

 見上げるほどの桜の大樹。赤茶けた葉が枯れたような枝に点々と広がる。幹には黒いしめ縄が巻かれている。

・大樹を見上げれば、大きな実がたわわに生って風に小さく揺れているように見える。《目星》でそれらの大きな実が全て人間の頭部であること、頭は生っているのではなく枝に挿してあるものだと分かる。

*《目星》もしくは《医学》で枝に挿してある人間の頭部はザクロの実が割れているように切り裂かれていること、ぐずぐずに腐っているものから真新しいものまであることが分かる。

*《聞き耳(臭覚代用)》で大樹に近づくと血生臭い、肉が腐っているようなニオイが分かっても構わない。

*大樹の下に探索者が来た場合、《幸運》失敗で探索者の上に腐肉、頭部自体が落ちてくる判定なども可。腐った頭部が直撃すれば、もれなくHPとSAN値を減らせる。また猿蟹合戦よろしく、大樹にたまたま登っていたムーンビーストが探索者に腐った頭部を投げつけてくる可能性もあるかもしれない。

 #大樹に成っているものが人間の頭だと分かる SANc 0/1d3

#(KPの任意で)腐った頭部、肉片が探索者へ落下直撃する SANc 1/1d3・HP-1d3

 

【手水舎】

ひさしがある石造りの一般的な手水舎。音もなく水らしき透明な液体が注がれ続け、あふれることはない。ひしゃくが一つ置かれている。

・《目星》で手水舎の透明な液体はただの水であり、手洗いなどに使用するだけであれば何の問題もないことが分かる。

・飲用については、《聞き耳 (臭覚代用)》《医学》の半分の値か《薬学》成功で飲んでも大丈夫な水だと分かる。

*手水舎の水は、御神木でかぶった腐肉や由緒看板の汚れを落とすのに使用出来る。

 

【由緒看板】

 神社の由来文が書かれているだろう白い看板。音声案内用のスイッチボタンが右端にある。

由来文が書かれているだろう表面には黒い汚れが広がっていて、文面は一切読み取れない。

・《目星》《医学》などで由緒看板の黒い汚れが血液がこびりついているものだと分かる。さらに詳しく調べるのならば、この血液は人間のもので、2、3人捌かれた血液全部ぶち撒けたらこんなふうになるのではないかと理解してもいい。

・音声案内のスイッチボタンを押すと、『わらべ歌:とおりゃんせ』が流れてくる。空腹判定と失敗ペナルティが探索者に課せられる。→【*とおりゃんせが聞こえる】

*なお由緒看板の汚れを頑張って落としたとしても、書いてある文章は《ニャルラトホテプとの接触》の呪文言。探索者は、どういう意味の文章か分からずともおぞましい文言だと直感的に悟ってしまう。唱えれば、探索者は光りに包まれていつのまにか拝殿内の祭壇前にいる。→【拝殿】

 # 由緒看板の汚れが血液だと分かる SANc 0/1

 #由緒看板の血痕が人間の2、3人分の血液だと分かる SANc 0/1d2

 #由緒看板に書かれた《ニャルラトホテプとの接触》を目にする SANc 1/1d3

 

【*とおりゃんせが聞こえる】:空腹判定と失敗ペナルティについて

『 とおりゃんせ とおりゃんせ

    ここはどこの細道じゃ 天神さまの細道じゃ  ちっと通してくだしゃんせ 御用のないもの通しゃせぬ

    この子の七つのお祝いにお札を納めに参ります

    いきはよいよい かえりはこわい こわいながらもとおりゃんせ とおりゃんせ 』

由緒看板の音声案内、助けを求めて掛けた電話の先、または時間経過などで『わらべ歌:とおりゃんせ』が聞こえてくる。とおりゃんせを歌うのは男とも女ともつかない不思議な声音(*歌唱:ニャルラトホテプ)だ。このとおりゃんせを歌う声を一節でも聞いた探索者はなぜか急激な空腹感に襲われる。

お腹空いた。何か食べたい。食べなければ動けない。食べなければ死んでしまう。何か食べたい。お腹空いた。お腹空いた。なんでもいいから、何か食べたい。

食べたい、食べたいとそればかりが探索者の脳内を締めていく。猛烈な空腹感を抑え込まなければ、探索者は行動ができなくなる。

・シナリオ内での空腹判定は最大7回。一節でも聞けば判定は発生するが、一度の判定はとおりゃんせ一曲ごととする。

①CON×5 ②CON×4 ③CON×3 ④CON×3 ⑤CON×3 ⑥CON×2 ⑦CON×1

時間経過による判定タイミングの配分などはKPに任せる。よほど余計な行動をする探索者ではない限り、シナリオクリアまでに発生する判定は5、6回までにとどめておくべきだ。

・空腹判定成功時はペナルティは特になし。お腹が空いたなあ、と探索者が感じる程度。

・空腹判定に失敗した場合、ステータスか技能にマイナスペナルティをつける。以下の6つから選ぶこと。1d6のランダムでも構わないが、ペナルティが過度に積み重なって探索行動や回避行動に支障が出過ぎないようにKPは考慮すべき。

『HP -1d2』『DEX -1』

『《目星》《聞き耳》《アイデア》一律 -10』

『《知識》《医学》《学問系技能》一律 -10』

『《回避》《応急手当》《技術・戦闘技能》一律 -10』

『《言いくるめ》《心理学》《対人技能》一律 -10』

*空腹によるダメージは《医学》《応急手当》での回復はない。

*空腹判定にファンブルした場合、探索者は気づけばナニカを咀嚼している。なぜか手が痛い、口の中には血の味が広がる。探索者は無意識に自らの手の肉を噛みちぎって口にしていたようだ。(*同行者、探索者が複数いる場合は相手の手などを食いちぎってもよい)

*空腹ペナルティは飲食物を口にして、満腹感を得るまで食べることが出来れば解除される。ただし判定数値のリセットはない。

#空腹判定にファンブルして自ら(同行者)の体を噛みちぎる SANc 1d3/1+1d6・HP-(1+1d3)

 

【千本鳥居】

朱色の鳥居が連なる石畳の道。境内同様光源はないのに明るい。ゆるやかに蛇行しているのかその先は見通せず、まるでどこまでも道が続いているようにも見える。

・千本鳥居の道の距離は境内から休憩処まで徒歩で一時間、休憩処から千本鳥居の終点まで一時間程度とする。

・千本鳥居の道幅は狭く、大人ひとりが少し余裕をもって歩ける程度だ。鳥居の高さもまちまちで気をつけて通らねば頭をぶつけそうだ。(*具体的に言うならばSIZ15以上にDEX-1程度の補正がかかる)

・《目星》で石畳に点々と血の跡が続いていることに気づける。(*血の跡は【休憩処】に続いている。《追跡》《目星》で血の跡をたどり、休憩処への脇道を見逃さずに済む)

・《目星》で鳥居の朱塗りが少しまだらに赤黒くなっていることが分かる。さらに《医学》などで詳しく見るのならば、赤黒い部分は血や皮膚片が混ざり髪の毛らしきものも塗り込められているようだとも気づける。

#鳥居に塗り込められた血と髪の毛に気づく SANc 0/1d3

 

【千本鳥居を行く①】:シナリオ前半の進め方

シナリオ前半は目覚めた探索者が正気度をじわじわ削りながら境内を出て、空腹判定をしつつムーンビーストに追いかけられながら千本鳥居を通り、休憩処にたどり着いてNPC佐倉七奈に会うことを想定している。一応。

・なかなか境内を出ようとしない探索者には拝殿からムーンビーストが数匹飛び出してきて襲いかかるなどして、千本鳥居へ逃げるよう誘導してもいい。

*ムーンビーストのSIZ(→【追跡者:ムーンビースト】)では千本鳥居を楽に通り抜けることは出来ず、鳥居に嵌まる場合もある。ということをKPは念頭に置いてほしい。戦闘は回避出来る。

・空腹判定とムーンビーストに追いかけられる以外に千本鳥居内でイベントは特にない。ロールプレイで徒歩一時間の距離をもたせるか、空腹判定ごとに時間を飛ばすかはKPの采配に任せる。

・境内から一時間歩いた距離で、《目星》で休憩処に続く脇道を見つけることが出来る。また空腹判定に失敗している探索者は自動成功になるが、《聞き耳(臭覚代用)》で空腹をくすぐる炊きたてのごはんの香りが休憩処のほうから漂ってきていることが分かる。

 

【追跡者:ムーンビースト】

千本鳥居の道の途中、突如真っ暗な空間から化け物(ムーンビースト)がぬるりと顔を出す。探索者を見つけると笑い声のような鳴き声を発し、ゆったりと近づいてくる。

・ムーンビーストのステータスはルルブの平均値準拠、SIZは21とする。技能値もルルブ準拠で意思疎通は不可とする。

・探索者の《幸運》失敗、またはムーンビーストの《目星》成功により1d3匹の化け物が姿を現わす。探索者が逃げる素振りを見せれば嬉々として追いかけてくる。

・《回避》《DEX対抗》などで鳥居を何回か抜けると、探索者はムーンビーストが追いかけてこないことに気づく。様子を見に戻るか《目星》で、ムーンビーストが鳥居に嵌まって身動きが取れなくなっていることが分かる。

・戦闘をする場合は上記同様に、何らかの行動タイミングでムーンビーストは鳥居に嵌まって身動き取れなくなる。

*ムーンビーストの出現は探索者がとおりゃんせを聞いて空腹判定をした直後、PLが油断しているだろうタイミングに畳み掛けるのが望ましい。

 #(*初めて)ムーンビーストを目撃する SANc 0/1d8

 

【休憩処】

f:id:guruguru18:20190321152910j:image

和風の店構え。平屋の木造建築物。格子窓がある。瓦屋根の軒には『休憩処』の看板がある。引き戸には『ご自由にお入りください。お茶と軽食をご用意しております。』の木札が貼ってある。

・休憩処裏へ回れる道はない。周囲は真っ暗な空間だ。

・《目星》で格子窓から覗けば休憩処内は明るく、テーブルが複数、奥に小上がり、入り口すぐにカウンターがあることとその先に厨房らしきものが分かる。人影は見えない。

・《聞き耳》で休憩処内に人がいる気配があるのが分かる。また《聞き耳(臭覚代用)》で休憩処内から漂ってくるごはんが炊ける香りに、屠殺場のような血生臭いニオイがかすかに混じっていることが分かる。

*空腹判定2回以上失敗している探索者は猛烈な空腹で、技能振る間も無く脇目も振らず休憩処内へ入らずを得ない。

 

【休憩処内のテーブル・小上がり】

6人ほどが座れるテーブル席が4つ、奥に4人ほどが座れる小上がりの座卓席が2つある。休憩処内は一見どこも清潔に整えられている。

それぞれのテーブルや座卓の上には食事処にあるようなポット、湯呑み、それから白い布がかけられた大皿がある。

・《目星》《聞き耳》などで調べればポットの中身は温かいほうじ茶、大皿には一個ずつラップに包まれた小さめのおにぎりが100個近く山盛りになっていることが分かる。

・おにぎりは、まるで子どもの手で握られたもののように小さい。薄い赤飯っぽい色味で肉そぼろのようなものが点々と散りばめられている。

・おにぎりに技能を振る余裕があるならば、《聞き耳(臭覚代用)》でまるで水の代わりに血液で炊いたかのような血生臭いおにぎりだということ、《目星》でラップにべたべたと赤い指紋跡のようなものがつけられていることが分かるだろう。

*空腹判定に2回以上失敗している探索者は技能を振る余裕などなく、おにぎりを見つけたらがむしゃらに食べ始める。食べるだけ食べて一息ついたあとで口の中に残る血生臭さなどに気づくだろう。《医学》《生物学》《料理技能》などを使えば、今自分が食べたおにぎりに入っていた肉が鶏牛豚などのどれにも該当しない食感と味だと分かる。

*空腹判定に成功または一度の失敗の探索者でも空腹は覚えている。一時間近くも歩いていれば空腹感はさらに増しているだろう。POW×5で食欲を抑えられるか判定し、失敗したならば空腹に耐えきれずにおにぎりを食べ始める。

*おにぎりをどの程度食べれば腹が満たされるかはPLの自己申告で構わない。10個でも20個でも好きなだけ食べるといい。

#食べた後に血生臭いおにぎりだと気づく SANc 0/1

 

【休憩処内のカウンター】

カウンターにはブックラックが備えつけられている。店らしいレジスターなどの会計をする設備はない。

カウンターの向こうには小さな流し台と食器棚、作業台がある。作業台の上には業務用の大きな炊飯器が3台あり、中にはおにぎりのものと見られる肉入りごはんが大量に保温されている。奥に厨房につながる開口部が見える。

・《目星》でカウンターを見ると『お持ち帰りも出来ます』の張り紙など、あちらこちらに薄っすらと赤い手形や指跡がついていることに気づく。そのどれもが子どものもののように小さいと分かる。(*赤い手形はどれもNPC佐倉七奈のもの)

・《聞き耳(臭覚代用)》で血生臭さはどうやら厨房から漂ってきているらしいと気づける。

・《聞き耳》《目星》で奥の厨房内で人が動いている気配があることが分かる。

・カウンターのブックラックには十数冊の書籍が並んでいる。《目星》《図書館》で幼児が読むような絵本ばかりが並ぶ中に薄汚いキャラクターノートが一冊紛れていることに気づく。→【*薄汚れたノート】

 

【*薄汚れたノート】

赤い手形指跡がついた薄汚いキャラクターノート。表紙には『さくら なな』とたどたどしい幼い子どもの文字が書かれている。中を開けば絵日記帳らしいことが分かる。

・《図書館》か《日本語(母国語) -10》で読むことが出来る。《知識》で以下の手記に該当する事件に覚えがないことが分かってもいい。

・最初の手記:クレヨンで描かれた母親と四角いものを持った女の子の絵

『おかあさんにかってもらった おかあさんありがとう だいすき』

・中程の手記①:クレヨンで描かれた母親と女の子と小さな子どもの絵

『おとうとのまーくん うまれた わたしおねえちゃんになった』

『まーくんいつもないてる おかあさんこまってる わたしおねえちゃんだからおかあさんたすける』

『まーくんなくとおかあさんもないてる わたしがんばる おかあさんありがとうっていってくれる ななだけがたよりよって』

・中程の手記②:鉛筆で描かれた白黒の女の子と小さな子どもの絵

『おかあさんかえってこない まーくんないてる わたしもおなかすいた』

『おかあさんかえってきた ごはんもってきた おかあさんおしごといそがしいから まーくんはななにまかせるって わたしがんばる』

『おかあさんこない おなかすいた』

『おかあさんきた でもごはんたりない たりないっていったら おかあさんにおこられた ななはおねえちゃんなんだからがまんしなさいって わたしがんばる』

『おかあさんこない まーくんないてる』

『おかあさんこない まーくんないてる』

『おかあさんこない まーくんないてる』

『まーくんなかなくなった よかった』

『おなかすいた』

・最後の方の手記:赤い色で翼の生えた人物と女の子が描かれている

『まーくんたべてたら あかいおひめさまがいた わたしびっくりした おひめさまはたのしそうにわらってた』

『あかいおひめさまは おかあさんもたべなさいっていった たりないならおかあさんもたべればいいよって』

『おかあさんきた たべた おいしかった おなかいっぱいになった おかあさんありがとう だいすき』

・以上の手記以降白紙のページが続くが、《幸運》《目星》でいちばん最後のページ下部に明らかに別人(*赤の女王)の筆跡の流暢な文章が書かれていることに気づける。

『あなたには彼女が人食いのバケモノに見える? それとも憐れで可哀想な人間の女の子かしら?』

#手記の内容に衝撃を受ける SANc 0/1d3

 

【休憩処の厨房】

設備は一般的な厨房で流し台、ガスコンロ、冷蔵庫、調理台などが四方の壁際に設置されている。

厨房の天井にはいくつものフック付きの鎖が垂れ下がり、数体の首のない人間の遺体が逆さ吊りになっている。床にはバラバラ死体と乾いた血だまりが広がり、血生臭さと腐臭に満ちている。

・《知識 1/2》《医学》《生物学》《料理技能》などで、フックに逆さ吊りの遺体は血抜きをされている最中のものだと分かる。

・冷蔵庫内には肉の塊、人間大の内臓が種類ごとにまとめてビニール袋に詰められて押し込められている。調理台、流し台には血まみれの包丁と調理器具、まな板が乱雑に複数ある。流し台の蛇口からはぽたりぽたりと水が垂れている、水は一応出る。ガスコンロには空の鍋やフライパンが置かれている。

・厨房全体に《目星》で冷蔵庫の奥に引き戸があることが分かる。(*ムーンビーストが人間の死体を運び入れる裏口)

・床に《目星》でバラバラ死体は肉が削がれ、骨ばかりになったものも多々あることに気づける。

*人間の死体が血抜きされ、肉が削がれていることに気づいた探索者はこれらが食用の調理であることを理解する。さらにすでに肉入りおにぎりを食べていた探索者は、《アイデア》でおにぎりに入っていた肉はこのように調理された人肉だと察することが出来る。

 #厨房の凄惨なさまを目にする SANc 1/1d3

 #人間の死体を食用に処理されていることに気づく SANc 1/1+1d3

#自身がすでに人肉を口にし、食べてしまった事実を理解してしまう SANc 1d2/1+1d6

 

【*NPC佐倉七奈に出会う】

厨房の床のバラバラ死体に埋もれるように子どもらしきもの(*NPC佐倉七奈)が座り込んでいる。探索者が声をかけると、すぐに立ち上がって笑顔を見せる。

「いらっしゃいませっ。お客さまですか?………それとも、材料のひと?」

舌ったらずな声音と口調は5、6歳かそれ以下の幼い少女のものだが、その姿は異様だ。ボロボロで元の色が分からないほどに赤黒く汚れた服を身にまとい、ボサボサの髪の毛、何年も風呂に入っていないような汚れた身体の子どもらしきもの。そのようなナリで包丁を手に立ち上がる姿はまるで地獄の餓鬼だ。

・《目星》でNPCがバラバラ死体の肉を包丁で削ぐそばから口に運んで食べていることに気づく。

NPCに話を聞けば、自分がなぜここにいるか何をしているのか休憩処の説明を含めて素直に話してくれる。彼女はお腹が空いたから食べているだけで、悪気も悪意も一切ない。《心理学》を使っても言葉の裏や嘘もないことが分かる。

・手記を読んだ探索者はNPCに同情するだろうか。手記を読まずともこの異常な空間から一緒に脱出しようと持ちかけるかもしれない。だがNPCは首を横に振る。ここは彼女にとってお腹いっぱい食べられる楽園のようなところだからだ。探索者がNPCを連れ出したいなら《言いくるめ》など技能を使い、彼女がここから出たいと思わせなければならない。

*もしPLがNPCに連れ出す魅力がないと思っているならば、KPにはなるべくその魅力を指し示してほしい。例えば探索者がNPCと話している時に偶然に厨房の裏口からムーンビーストが顔を出したりすると、探索者とムーンビーストとは臨戦体勢になるだろう。それをNPCが止めると、探索者にとって彼女はムーンビーストを止められる存在となる。そんな状況を作って《アイデア》で気づかせてほしい。

NPCの餓鬼のようなさまを見る SANc 0/1

NPCがバラバラ死体の肉を食べていることに気づく SANc 0/1d3

 #(*手記を読んだ探索者が)手記を書いたさくらななが目の前にいるNPCだと気づく SANc 0/1d3

 

【*休憩処で食事をするか否か】

・肉入りおにぎりを食べると、空腹判定失敗ペナルティを打ち消すことが出来るが正気度が減る。

・肉入りおにぎりはカウンターの張り紙に記載ある通りに持ち帰りが出来て、以降の空腹判定失敗時に食べて腹を満たせばペナルティを打ち消すことが出来る。

*肉入りおにぎりを持ち出すか否かを探索者から言い出すまでは、出来る限りKPから口は出さないこと。持ち出す量は探索者の持ち物、バッグなどの容量による。両手が塞がった場合は技能にマイナス補正をかけること。

#人肉入りだと既知な上でおにぎりで腹を満たす(*その都度) SANc 1/1d3

 

【千本鳥居を行く②】:シナリオ後半の進め方

探索者がNPC佐倉七奈を連れ出して一緒に千本鳥居を歩き、空腹判定をしつつ千本鳥居終点にたどり着き、彼女を連れて帰るか否かを選択することが理想。一応。

NPCを連れていない場合は【千本鳥居①】同様に空腹判定とムーンビーストに追いかけられる以外にイベントはないので、千本鳥居の終点まで時間を飛ばしても構わない。

NPCを連れている場合はロールプレイにて彼女との交流を図るべきだ。彼女は聞かれたら、母親や弟との楽しい思い出を積極的に語る。その際に《心理学》を使えば母親や弟の死を理解していないことが分かる。

・ムーンビーストはNPCを追いかけはしない。また彼女がやめてと言えば追いかけることをやめて、見送ってくれる。

・空腹判定は休憩処を離れたNPCにも適用される。→【*NPC佐倉七奈の空腹判定と失敗時の処理】

 

【*NPC佐倉七奈の空腹判定と失敗時の処理】

NPC佐倉七奈は休憩処を出れば、探索者同様にとおりゃんせを聞くと空腹判定が発生する。NPCのCONは3だ。

彼女は常にお腹が空いているため、NPCの空腹判定数値は一律CON×1とする。

・KPはシークレットダイスでNPCの空腹判定をしてもいいし、探索者の空腹判定が終わった後のPLへ堂々と“今からNPCの空腹判定をする”と宣言してもいい。残念ながらNPCの空腹判定は失敗前提だ、どちらが酷かは探索者と彼女の親密度にもよるだろう。

NPCの空腹判定が失敗した場合、彼女はいちばん近くにいる探索者へ《噛みつき》を奇襲攻撃扱いで行う。最初の奇襲攻撃の《回避》は出来ないがそれ以降の攻撃には対応が可能。腹を満たすまでNPCはその行動をやめない。

・探索者は《アイデア》でNPCの噛みつき行為がただただ腹を満たそうとするだけのものだと気づける。

NPCの噛みつき行為を止めるには探索者が持ち出したおにぎりを10個差し出せばいい。ただし空腹判定失敗都度、彼女はおにぎりを10個たいらげる。

*おにぎりを持ち出していない場合、探索者が反撃してNPCの行動を物理的に止めても構わない。上手く気絶状態にもっていけるのならばやればいい。ただし彼女はHP4しかない幼い少女だ、下手をすれば殺してしまうだろう。

*探索者が自らの血肉をHP2+1d3分差し出すなど、他にNPCを止める手立てがPLにあるならばロールプレイを絡めて挑戦してみればいい。

#友好的だったNPCが噛みついてきた SANc 0/1d3

NPCを殺してしまう SANc 1d3/1+1d8

NPCが探索者の血肉を食べているさまを見届ける SANc 0/1d8

 

【千本鳥居の終点】

一際大きい鳥居が見えてくる。その先は真っ白な神々しい光に満ちている。

鳥居の手前は広場のようになっていて、中央にはティーテーブルと椅子が置いてあり、煌びやかな装飾品と気品あふれる真っ赤なドレスを身につけた女性(*赤の女王)が優雅に腰掛けている。

赤の女王は探索者を見つけると、「遅かったわね、待ちくたびれたわよ」と愉快そうに微笑む。探索者とともにNPC佐倉七奈がいた場合、「七奈ちゃんも一緒なの?」と少し不思議そうに小首を傾げる。

NPCを連れていない探索者の場合、赤の女王は愉快そうにとおりゃんせを口ずさみ始める。探索者に空腹判定が発生する。空腹を覚える探索者に赤の女王は光あふれる鳥居を指差して「お通りなさいな。早く行かないと閉じちゃうわよ?」と微笑む。彼女の言う通りに鳥居をくぐれば、シナリオクリアになる。→ノーマルエンド

NPCを連れていた場合、赤の女王はNPCに向かって「七奈ちゃん、どうして出ていくの?ここにいればいつまでもお腹いっぱい食べられるのに」と引き留める。NPCは命の恩人である大好きな“あかいおひめさま”に言われて心が揺らぐ。対して探索者はNPCに《言いくるめ》などを使ってもいいし、ロールプレイで赤の女王とNPCを引き離してもいい。

・最終的に探索者とともに行くかどうかを決めるのはKPでありNPCだ。これまでのロールプレイで彼女と十分に信頼関係を築いていれば、NPC佐倉七奈は探索者とともに行くことを選ぶだろう。赤の女王は少し呆れたように息をついた後で探索者とNPCに手を振り、「さようなら……楽しかったわ。機会があればまた会いましょうね?憐れで憐れで可哀想な人間の女の子ちゃん」と笑顔で見送る。→トゥルーエンド

*探索者がNPCを連れていない場合で、一度でもNPCと顔を合わせているならば赤の女王は探索者に対して「……あなたにとって、彼女は人食いのバケモノだったのね」と呟く。さらにNPCを殺していれば、「だから殺したの?」と揶揄するように続ける。だが探索者がそれに対して反論しようが何をしようが、赤の女王はもう何も言わない。赤の女王はもう探索者に関心を示さない。

NPCがもし赤の女王の元にとどまる選択をしたならば、二人は探索者そっちのけで楽しい楽しいお茶会を始める。NPC佐倉七奈は赤の女王の膝に座り、ティーテーブルにいつのまにか並んだ御茶菓子の数々を頬張り始める。二人はもう二度と探索者に関心を示さない。

*戦闘をして赤の女王を屈服させる方法も一応ある。しかし赤の女王へ戦闘を仕掛けるためにはPOW対抗し、探索者が勝たねばならない。ちなみに赤の女王はPOW25だ、ステータス技能値はルルブ準拠とする。

 

【シナリオクリア条件】

*ノーマルエンド

・探索者が謎空間から生還する。

*トゥルーエンド

・探索者が謎空間からNPC佐倉七奈を連れ出して一緒に生還する。

 

【エンディング】

探索者は最後の鳥居をくぐると白い光に包まれる。気づいた時には見覚えのある道の古ぼけた小さなお社の鳥居の前に座り込んでいた。

時間を確認すればすでに大晦日は終わり、年は明けている。空腹感も負った傷も綺麗さっぱり消えていた。さっきの出来事は夢だったのだろうかと探索者がふらりと立ち上がると、けたたましいサイレン音とともにパトカー数台と救急車が目の前を走り抜けていった。

パトカーの行く先を見に行ってもいいし、後日ニュースか何かでそれを知ってもいい。探索者は大晦日の夜に近所で痛ましい事件が起こったことを知る。事件は乳児の餓死とその母親の自殺だった。貧困に喘ぐシングルマザーの問題に触れて一時は大々的に報道されたが、その事件はいずれ世間からも探索者の記憶からも忘れ去られていった。

*上記までがNPCに会っていないノーマルエンドになる。

NPC佐倉七奈を知る探索者はその事件に彼女がいないことに疑問を持つだろう。詳しく調べればいずれ『餓死した乳児の遺体が食べられていたこと』『母親は自殺ではなく食い殺されていたこと』『長女が乳児の遺体を食べ、母親を食い殺して生き延びたこと』が分かる。だが、事件の凄惨さや長女がまだ7歳の未成年者であることから厳重な報道規制が敷かれたのだ。

探索者はこの事実に何を思うだろうか?―――彼女は人食いのバケモノか。それとも憐れで可哀想な人間の女の子か。

*ノーマルエンドではNPCは行方不明扱いになっている。報道規制下で密かに捜査は継続されるが事件の不可解さにいずれ迷宮入りになるだろう。

 

【シナリオクリア報酬】

・探索者が無事に生還した 1+1d8の正気度回復

・探索者がNPC佐倉七奈を連れて生還した 1+1d10の正気度回復

・探索者が赤の女王もしくはニャルラトホテプと相対した クトゥルフ神話技能+2%

・探索者がニャルラトホテプ本体を見ても発狂しなかった クトゥルフ神話技能+7%

 

【蛇足なあれこれ補足】

・当卓セッションでの空腹判定タイミングは境内で①、さらに②。前半千本鳥居で③④、後半千本鳥居で⑤⑥。最後に赤の女王の采配で⑦があるかないかといった具合だった。

・余計なことをせず真面目に探索するPLならば、空腹判定タイミングはいっそ千本鳥居に入った後からリアル時間15分か30分ごとの判定でも面白いかもしれない。

・とおりゃんせは無料素材サイトさんで歌声入りの曲が配布されているので、探して。またはKPの美声を響かせて。

・空腹判定失敗による技能のマイナスは危機感を煽るため。ムーンビーストの追跡も同様。

・このシナリオでいちばん大事な判定はNPCの空腹判定だ。なるべく失敗しなければならない。失敗しなければNPCの人食いのバケモノっぷりをさらけ出せない。

・当卓セッションで大量のムーンビーストがいる拝殿にソロで突撃した探索者がいたため、急遽作った最短クリアへの道。当初は護符とか神鏡とかなかった。だから拝殿のあれはルーニー用のクソ対応だと思ってくれて構わない。

・飢餓と幼女→とおりゃんせ→神社→大晦日という連想による舞台設定なだけ。深い意味は特にない。

*シナリオに記載した使用技能などはあくまでも当身内卓セッションでの使用例であり、KPの采配内で逸脱しない程度にご自由にプレイしてほしい。

 

【さいごに】

当シナリオをお読みいただき、誠にありがとうございます。

このシナリオは身内卓で遊ぶために作成したものであり、友人のリアル正気度を減少させるために私が考えうる胸糞とえげつなさをふんだんに取り入れたものです。

いかがでしたでしょうか。よろしければ遊んでいただけたら幸いです。

 

*シナリオの改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。


2018/10/06 シナリオ〈とおりゃんせが聞こえる〉公開

2019/03/21 推定プレイ時間改定及び【休憩処】間取図画像を追記

 

ゴミ屋敷に棲まう

 

シナリオ名:ゴミ屋敷に棲まう (ごみやしきにすまう) 製作者:ayabumi

 

【はじめに】

こちらは《クトゥルフの呼び声》のTRPGシステムを使用した、現代日本舞台の半クローズドシナリオです。プレイ推奨人数は2〜3人、プレイ時間は5時間以内になります。探索者の選択、行動によって戦闘もあり得ますが基本探索メインで生還脱出を試みるストーリーです。過度のルーニープレイで挑むと、自由落下10mのデストラップにかかる可能性が高くなりますのでご注意ください。

 

【あらすじ】

ある日、探索者の後輩が相談を持ちかけてきた。祖母の様子を見てきてくれと親に頼まれたが祖母の家は近所で悪評高いゴミ屋敷となっていて一人では心細い、ついてきてくれないだろうかと。探索者は後輩の頼みを聞き、一緒にゴミ屋敷を訪れる。後輩が屋敷の中に声をかけると、老婆の抑揚のない返事が。不審に思い、室内を見ると白骨化した老婆の死体を発見する。その時、大量のゴミが雪崩れて出入口を塞いだ。探索者はこの奇怪なゴミ屋敷からの脱出を試みる。

【推奨項目技能など】

・探索者は、成人済の社会人または大学生であることが望ましいです。一応、高校生中学生探索者でもシナリオを進めることは出来ます。
・探索者の持ち物は一般常識の範囲内でご自由にどうぞ。携帯電話・スマホなどの通信機器は地下以外で使用可能ですが、外部から助けを呼ぶことは出来ません。
・舞台となる季節や地域はご自由に。時間制限も特にありません。ただし探索者の行動によってはかなり切羽詰まった状況下で時間に追われる可能性があります、ご注意ください。

推奨技能:《目星》《聞き耳》《説得》or《言いくるめ》or《精神分析》《登攀》《跳躍》《ナビゲート》

 

【シナリオ背景】

ゴミ屋敷の地下には‪ミ=ゴ‬が2匹棲みついています。‪ミ=ゴ‬は鉱石コレクターだった後輩の祖父のコレクションの一つ、成分鑑定不可の未知の鉱石サンプルを入手するためにこの地を訪れました。しかしその時点で祖父は他界して祖母は認知症を患い、コレクションのある屋敷はゴミ屋敷となっていて‪ミ=ゴ‬たちは鉱石サンプルを捜すのに苦労していました。そこへたまたま祖母の様子を見に来た後輩を捕らえたので配下にし、未知の鉱石を捜させるついでに人体実験の被験者の調達も任せています。
後輩はシナリオ開始時すでに脳缶となっていますが、‪ミ=ゴ‬の配下となっている自覚がありません。脳缶の記憶はありますがそれは最近よく見る悪夢だと思い込んでいます。

NPCについて】

《探索者の後輩》
・このNPCの性別年齢などは探索者の年齢性別に合わせて決めてください。探索者にとってはかわいい後輩であり、頼られて悪い気はしないといった一般的な後輩属性でお願いします。
・探索者と敵対するまではお助けNPCとなりますので、ステータス技能は探索者を補うように取得してください。
・‪後輩は祖母の死体発見、ミ=ゴ‬との接触によりキャパオーバーで記憶の欠落と健忘症(不定の狂気)を発症しています。‪ミ=ゴ‬に関することや友人を被験者にしたことなどの、自分に都合の悪い記憶はありません。探索者にそのことを問われても、分からない知らない覚えがないと答えるしかありません。悪夢として見る記憶は脳缶の脳が見聞きしたものだけで、後輩は気色悪い悪夢を見ているという認識です。
・‪後輩がミ=ゴ‬に与えられている指示は『‪ミ=ゴ‬と地下研究室の一切を誰にも話さない』『屋敷内で未知の鉱石を見つけたら‪ミ=ゴ‬へ届けに行く』『人体実験の被験者を定期的に連れてくる』の三つです。

《他脳缶の犠牲者》
・地下室1にて脳缶になっているのは後輩以外4人、後輩の祖母と後輩の友人3人です。脳缶になった犠牲者の身体はゴミ屋敷内に適当に廃棄され腐乱していますので、後輩の祖母を含め犠牲者らを助けることは不可能です。
・後輩の友人3人の脳缶は認知症の祖母の脳缶と一緒に繋げられているため、認知機能が著しく衰えています。探索者の問いに対して正常に受け答え出来る可能性は低く、自身がどういう状況に置かれているかの認識も曖昧です。

《ゴミ屋敷の‪ミ=ゴ‬》
・‪ミ=ゴ‬のステータスはルルブ準拠でお願いします。探索者が明確な敵対行動を取らない限り、彼らは自ら戦闘をすることはありません。
・‪ミ=ゴ‬はゴミ屋敷内に入ることはありません。地下への出入りも庭に隠している出入口で行なっています。

 

【導入】

ある日、探索者の元に後輩から連絡が入る。「どうしても先輩に頼みたいことがある。今度の日曜日に予定を空けてくれないか」と。詳しい事情を聞けば後輩は少し渋りながら「離れて暮らす祖母の様子を見てきてくれと親に頼まれた。だが祖母の家はゴミ屋敷となっていて薄気味悪く1人では行きたくない」と語る。そして「先輩はすごく頼りになる、先輩と一緒なら心強い。だからお願いします」と探索者を持ち上げつつ頭を下げる。探索者は後輩のどうしてものお願いを聞き、後輩と一緒にゴミ屋敷を訪れることになる。


【ゴミ屋敷到着までの事前情報】

・後輩の祖母の住む屋敷は近所で悪評高いゴミ屋敷だが、路地の奥まった場所にあり接地している道も私道のために行政が出張ってくるまでには至っていない。
・後輩の祖母は認知症気味だが家族と折り合いが悪く、未だに一人暮らしをしている。祖母がゴミを集め出し、ゴミ屋敷と化したのは祖父が亡くなってからである。
・後輩の祖父は7年前に他界している。祖父は元大学教授で、その界隈では高名な鉱石コレクターだった。珍しい石をたくさん持っていた、今も屋敷の中にあるはずだがゴミに埋もれて探しようがない。
・ゴミ屋敷周辺には化け物が出る噂がある。ピンク色の巨大な虫(‪ミ=ゴ‬)が空を飛んでいる、化け物を追いかけてもゴミ屋敷の庭で姿がなくなる。
*これらの情報は事前に後輩から直接聞いたり周囲の評判を調べたりして取得出来る話になります。KPは探索者の技能成否で適時情報を与えてください。

・ここ数ヶ月、いちばん仲が良い友人3人の付き合いが悪い。恋人が出来たのか遊びに誘っても返事がない、旅行に行ってるのか数ヶ月会えていない、連絡が取れない。
・最近、夢見が悪い。研究室か手術室のようなところで水槽の中に閉じ込められて、2匹の化け物が自分を観察している夢を何度も見る。気色悪いSF映画のような悪夢だ。
*これら二つの話は後輩の主観です。後輩がゴミ屋敷への道々で雑談のように探索者に語ります。この時点でクトゥルフ知識のあるPLさんは‪ミ=ゴ‬や脳缶を連想させるかと思いますが、探索者の知識に反映させないよう心掛けてください。

 

 【ゴミ屋敷見取図】


*二つ目の見取図はKP用のネタバレ画像です。PLには見せないようにしてください。

《ゴミ屋敷外観他》:砂利道の私道の先に、木製の塀に囲まれた古びた平屋の木造家屋(築30年以上)がある。狭くはない庭がある。塀越しにゴミの山が見える。近づけば近づくほどにすえたような異臭が鼻につく。

《ゴミ屋敷庭》:庭にはいくつか植木が見えるが、枝には中身入りの黒ずんだビニール袋がいくつも掛けられている。家屋をぐるりと囲むように軒に届く高さのゴミの山ガラクタの山が連なっている。玄関脇、縁側近くに大きな水たまりがある。水たまりの水は泥水のようで灰色がかっている。
*玄関脇の水たまりが地下室2、縁側近くの水たまりが地下室1のハッチ口に繋がる。

《ゴミ屋敷内》:ゴミの重量のせいで家屋は歪んでいるために屋敷の全ての窓は動かず外せず、脱出口にはならない。見える床や棚の上にはホコリがたまっていて掃除している気配はない。電灯は点いておらず、屋内は昼間でも薄暗い。

《ゴミの山ガラクタの山》:ぱんぱんに膨らんだゴミ袋が積み重なる山で、隙間を埋めるように古い寝具や古着の端が飛び出している、壊れたテーブルや椅子などの脚も見える。ゴミ袋からは生ゴミの腐汁が滴る。近寄ればゴキブリ、ハエなどの虫がゴミの山を這い回っているのが分かる。

《玄関》:天井の高さまでゴミの山ガラクタの山で埋まっている。玄関出入り口のすりガラスの引き戸は閉まっているが、表からなら力任せに開きそうだ。

《台所》:勝手口のすりガラスのドアを開ければ、ゴミの山の中に人1人が通れそうな道があるのが分かる。入って右側にシステムキッチン、左側に大きな食器棚二つと冷蔵庫がある。システムキッチンと奥の壁の間に隙間があり、床下収納の引き上げ戸が見える。

*床下収納は地下の階段横のハッチ口に繋がる。

《廊下》:50センチ程度の厚さにゴミがたまっている、奥に進むにはゴミをかき分けていかなければならない。茶色やどす黒いシミが壁などあちらこちらにあるのが分かる。廊下から見える範囲の襖戸は全て人1人分通れるぐらいに開いている。

 《和室1・2・3》:それぞれ六畳間。和室1は天井まで完全にゴミで埋まっていて、ゴミは和室1から和室2になだれ込んでいる。和室2は1メートルくらいの厚さのゴミが重なる。和室3にも和室2からのゴミがなだれ込んでいるが比較的ゴミは少なく、色褪せてシミだらけの畳の床が見える。

*‪ミ=ゴ‬が探す未知の鉱石発見場所。

《和室4》:八畳間。室内は肉が腐ったような、屠殺場のような異臭が充満している。ゴミの山はすり鉢状に、壁沿いに積まれている。縁側に出られる障子戸は閉まっている。ぽっかり開いた中央の床には白いコンビニ袋が複数あり、赤黒い汁が漏れ出ている。
*大量のネズミの死体、後輩の友人3人の死体発見場所。

《和室5》:十畳間。和室4同様に室内は肉が腐ったような、屠殺場のような異臭が充満している。ゴミの山はすり鉢状に、壁沿いに積まれている。縁側に出られる障子戸は閉まっている。開いた中央には古ぼけた布団が敷かれていて、掛け布団は中に何かが置かれているのか膨らんでいる。
*祖母の死体発見場所。

 《縁側》《収納》:和室4・5から縁側に出られる。廊下同様にゴミが厚く積もっている。掃出窓が連なり庭が見えるが、ゴミの山で風景は見渡すことは出来ない。収納は多少のホコリはあるものの比較的綺麗で掃除機やモップなど使われなくなった家庭用品が収められている。
《WC(トイレ)》《洗面所》:トイレや洗面所は天井から床までカビがびっしり生えていて、和式の便器や洗面台は黄ばんでいたり黒ずんでいたりする。どちらも水は出て、使用に問題はない。
《浴室》:タイル張りの室内は古く掃除はされていない印象を受けるが、壁や天井にカビや黒ずみなどは見えない。浴槽には泥水のような灰色で濁った水が張られている。シャワーや蛇口から水は出ない。
*浴槽内に地下への階段がある。

【ゴミ屋敷敷地内イベント】

*ゴミ屋敷敷地内は物があふれています。探索者の欲しいものがあれば、対応する場所などで一般常識範囲内に探すことは可能です(台所の包丁、ゴミの山の中から装甲扱いのヘルメットという具合に)。《幸運》《目星》で見つけ、《登攀》《跳躍》《こぶし》で目当ての物の場所にたどり着く掘り起こすなどして多少の難しい行程で会得するようにすればいいと思います。

*ゴミ屋敷内で《聞き耳》を室内の人の有無の判別として使用した場合、足元にいるネズミの鳴き声やゴキブリのカサカサ音、耳元で飛び回るハエの羽音だけしか確認出来ません(#SANc 0/1)。漠然とした《聞き耳》使用は嗅覚の代用技能でニオイの判別、ニオイの元の場所をたどるために主に使うことになります。

 《玄関》《ゴミ屋敷庭》《台所》《廊下》
・ゴミ屋敷に到着すると、後輩は玄関を素通りして庭を通り裏の勝手口に向かいます。玄関の引き戸は力を込めれば一応開くものの、開いた先は大量のゴミがめいっぱい詰まっています。運が悪ければ探索者へと雪崩れてくるでしょう。
・庭にはゴミの山に隠れて玄関脇と縁側近くに大きな水たまりが2つあります。水たまりは泥水のようで灰色に濁っていて底は見えません。探索者が水たまりに近づこうとすれば、後輩が「汚いから触らないほうがいい」と警告を発して止めようとします。
*水たまりは地下、‪ミ=ゴ‬の研究室への出入口です。水たまりの大きさは‪ミ=ゴ‬が難なく通れる程度の直径です。水たまりの水は本物の水はなく、‪ミ=ゴ‬が作った立体映像のようなもので出入口を隠すカモフラージュになります。見える水面に触れても濡れることはなく水音もありません。水たまりに落ちるとゴミ屋敷内を探索せずに直接地下へ行けますが、自由落下10m分のルルブ準拠の落下ダメージをくらいます。

・勝手口にたどり着くと、後輩はドアを開けて屋内に向かって呼びかけます。すぐに老婆の返事がありますが、探索者は《聞き耳》《アイデア》などの技能でずいぶんと抑揚のない声で棒読みだと違和感に気づくことが出来ます。
・後輩は祖母の様子を見に和室5に向かいます。探索者は勝手口で待っていてもいいですし、後輩についていっても構いません。ついていく場合は廊下のゴミの中を安全に歩けたか、待っている場合もゴミの山を崩したりしないかどうか《ナビゲート》《目星》などの技能を使い、失敗した場合はガラス片やゴキブリを踏んだり掴んだりしてHPや正気度を軽く減らしてください。
・台所の床下収納は地下への出入口になります。しかし蓋を開いてのぞき込んでも空っぽの収納があるだけで一見それとは分かりません、水たまり同様‪ミ=ゴ‬のカモフラージュで底の立体映像が敷かれています。《目星》で床下収納の底が不自然に波打っていることに気づいて、不用意に飛び込めば自由落下10mになります。

 《和室5》
・後輩は祖母に声をかけながら布団をめくり、探索者と一緒に布団の中の半ば白骨化した老婆の腐乱死体を発見します(#SANc 0/1d3)。探索者がその場に居合わせなかった場合、腕を引っ張って連れてきます。《医学》で老婆の死体が今さっき死亡した遺体ではなく死後何カ月も経っている、頭蓋内に脳がないと探索者は気づけます。さらに《アイデア》で今後輩が声をかけて返事が返ってきていたのは何だったのか恐怖を覚えることでしょう(#SANc 0/1d2)。
*後輩は以前祖母の死体を発見した記憶がありませんし、一晩経てば忘れてしまいます。そのために何度死体を発見しても悲鳴をあげて恐怖します。

・祖母の死体を確認した後、台所から何かが崩れるような大きな音が響きます。台所に行けば、食器棚二つと冷蔵庫が崩れたゴミの山と一緒に倒れて勝手口を完全に塞いでいるのが分かります。《目星》や実際に《STR対抗》で確認すると食器棚が勝手口にがっちりと嵌まっていて動かないことを知り得ます(*シナリオの都合により絶対に微動だにしないので脱出不可能です)。
*死体発見、脱出不可の時点で警察に通報出来ます。通報して住所を告げると悪戯電話だと決めつけてきて電話を切られます(*認知症の祖母が何度も盗難妄想の勘違い通報したことが原因)。警察の腰は重くエンディングまで動きません。

*以降、脱出のための本格的な探索になります。探索する順番、場所はご自由にどうぞ。《玄関》《WC(トイレ)》《洗面所》《収納》には特に何もありません。

 《和室4》《縁側》
・和室4は床中央の8個のコンビニ袋がいちばんに視界に入ります。袋を開ければ蛆が蠢きあふれ出て、頭がないネズミの死体が大量に入っています(#SANc 1/1d2)。
・和室4の壁沿いのゴミの山に《目星》すると、もぞもぞと動いているように見える場所を見つけます。近づいてさらに《目星》すればベルトのようなものを握った、人間の右手だと分かります(#SANc 0/1d3)。その右手は腐乱していて、もぞもぞしているように見えたのは蛆虫です。ベルトはショルダーバッグの一部分で、バッグの中には身分証(後輩の友人の一人の名前)やサイフなどと書き殴ったような筆跡のメモを見つけます。後輩の友人の名前を《アイデア》で思い出し、見つけた死体の一部分が後輩の友人のものだと気づけます。メモには『化け物は何か珍しい石のカケラを探している けれどこのゴミの山からそんな小さいもの見つかるわけがない!』と書かれています。ゴミの山をもっと探せば頭部だけがない3人分のバラバラ死体を発見出来ますが、その都度正気度を減らすことになります。
・後輩に友人のことを問い詰めても、分からないと困惑するだけです。《精神分析》を使うと恐怖の記憶が蘇り、後輩は一時的発狂表の症状一つを強制的に発症します。後輩の一時的発狂はすぐに治っても構いませんが、根本の不定の狂気(記憶の欠落や健忘症)は治りません。

・和室4、和室5の障子戸を開くと縁側に出ることが出来ます。縁側には特に何もありませんが、障子戸を開くことで庭の縁側近くの出入口にたまたま入ろうとしてたミ=ゴ‬1匹を目撃します(#SANc 0/1d6)。時間経過やタイミングなど特になく、このイベントは探索者が障子戸を初めて開けた時に強制的に起こります。

 《和室1・2・3》
・和室1・2・3をそれぞれ《目星》すると、親指大の石のカケラが収められたシャーレのようなガラスケースを発見出来ます。《幸運》成功で、『19XX/03/05 ○○山洞穴ニテ採取 鉱石 成分鑑定デキズ』とラベルが貼られたガラスケースの中に赤と緑が混じった黒い石が入っているものを見つけます。《知識1/2》《博物学》《鉱物学》の成功でこの鉱石サンプルが今まで発見されたことのない、未知の鉱石だと確信します。
・和室1は完全に、和室2はほとんどゴミの山で埋まっています。鉱石サンプルを《目星》《幸運》で見つけても、安全に手に取るために《ナビゲート》《DEX×5》を振ってください。失敗した時は指先にケガを負いHPを軽く減らしてから取得することになります。また和室3はゴミが少なく、目的の鉱石サンプルが転がっている可能性は低いと思われますので《目星》にプラス補正をし《幸運1/2》の値に減らすことを推奨します。
*後輩に未知の鉱石を見せると、「彼らが探しているものだ、早く彼らに届けてほしい」と言って探索者を浴室へ無理矢理に引っ張っていきます。

 《浴室》
・灰色の濁った水が浴槽いっぱいに溜まっています。探索者が《目星》などで浴槽内を調べようとすれば、後輩が探索者を浴槽内に突き落とします(1d3ダメージ)。灰色の濁った水は水たまり同様、‪ミ=ゴ‬が仕掛けたカモフラージュです。見える水面に触れても濡れることはなく水音もありません。浴槽内には階段があり、屋敷地下まで続いています。
*「会わせたいひとがいる」と言う後輩に連れられて、大人しく浴槽内の階段を下りるとダメージはくらいません。地下に行かなければ脱出出来ずどん詰まりロストで、よしんば庭に出られたとしても未知の鉱石を持っていれば‪ミ=ゴ‬に襲われて探索者の死体から鉱石を奪われ、鉱石不所持の場合は後輩に背後から襲われ水たまりへ突き落とされ自由落下で地下にたどり着く予定です。

【ゴミ屋敷地下(‪ミ=ゴ‬の研究室)見取図】


*二つ目の見取図はKP用のネタバレ画像です。PLには見せないようにしてください。

《階段》:二人が余裕を持って並んで歩ける程度の広さの階段。踊場をいくつか経て地下にたどり着く。壁や床天井などは病院のように白く清潔感があり、光源はないのに薄ぼんやりと明るい。
《廊下》:壁や床などは病院のように白く清潔感があり、光源はないのに薄ぼんやりと明るい。階段横の天井にハッチ口(*台所床下収納に繋がる)がある。地下室1、地下室2へ繋がる開口部がある。

 《地下室1》:三十畳ほどの広さがある。少し眩しいくらいに明るい室内。天井には太いダクト管、床にはコードがたくさん広がっていて壁際に大型の機械がいくつも並ぶ。開口部から入って奥の天井にハッチ口(*縁側近くの水たまりに繋がる)がある。左側の奥に機械に隠れたデスクがあり、一つの円筒状の水槽が置かれている。部屋中央には丸いテーブルがあり、その上には四つの円筒状の水槽が乗っている。
*後輩の脳缶、後輩の祖母と後輩の友人3人の脳缶がある。

 《地下室2》:三十畳ほどの広さがある。少し眩しいくらいに明るい室内。天井には太いダクト管、床にはコードがたくさん広がっていて壁際に大型の機械がいくつも並ぶ。開口部から入って右側の天井にハッチ口(*玄関脇の水たまりに繋がる)がある。部屋中央にはストレッチャーのようなベッドが1台設置されている。

*探索者が地下突入時に‪ミ=ゴ‬2匹がいる部屋。

 《ハッチ口》:‪三ヶ所ある。どのハッチ口も常時開いている。ハッチ口内は光源はないが薄ぼんやりと明るく、ハッチ口より30センチ程度は室内と同じ材質の壁だが、それより先は雑に掘られたような土壁岩壁になっている。地上の出入口まで10mほどの距離(高さ)がある。

【ゴミ屋敷地下イベント】

《階段》《廊下》
・階段は地下から地上へ戻ることは出来ません。地下から階段を上っていけば、途中で階段が天井に埋め込まれているように途切れていることが分かります。探索者は別の出口を探すことになります。
・廊下から《聞き耳》をすれば地下室2から虫の羽音のような音を聞き取ることが出来ます。また廊下から《目星》で地下室1を窺えば室内中央のテーブルの上の円筒状の水槽四つを、地下室2を窺えば室内の‪ミ=ゴ‬2匹を目撃(#SANc 0/1d6)することになります。
*地下室2にいる‪ミ=ゴ‬2匹は、探索者が多少物音を立てようが騒ごうが室内から動きません。‪

 《地下室1》
・地下室1では室内全体、壁際の大型機械、室内中央のテーブルの上の円筒状の水槽四つに《目星》が出来ます。室内全体を見れば天井のハッチ口、機械の向こうにある小さなテーブルとその上に置かれた円筒状の水槽を見つけます。大型機械は現在の人間の科学技術では作成し得ないオーバーテクノロジーの機械だと気づきます(#SANc 0/1)。
・室内中央のテーブルは四つそれぞれの円筒状の水槽内に人間の脳が入っていること(#SANc 0/1d4)、水槽は全てコードで繋がり傍らの黒い箱に何らかの接続が成されていることが分かります。また水槽と箱を繋ぐコードを抜けば、この装置を停止させることが出来るだろうと気づいてもいいです。
・中央の円筒状の水槽に探索者が近づくと黒い箱に幾何学模様が浮かび上がり、数人分の機械音声のような声が聞こえてきます。声は「寝ていた。体が動かない。ここはどこだろうか」と口々に探索者へ尋ねます。ここで《目星》をすると、尋ねる声音に呼応するように水槽内の脳から微かに気泡が立つことに気づけます。さらに《アイデア》成功で探索者はこの水槽内の脳だけの存在が生きていて、こちらを認識して話しかけてきている事実を理解します(#SANc 0/1d2)。
・水槽の脳は「体が動かない。事故にでも遭ったのだろうか。ここは病院か。知っているなら教えてくれ」と探索者が答えるまで繰り返します。探索者はそれに応えても構いませんし、対人技能を使って脳に名前など記憶してる範囲のことを尋ね返してもいいです。脳たちは自分の名前や状況を尋ねられても釈然としない答えを返します(*後輩の友人3人の脳と後輩の祖母の認知症の脳が一緒に繋げられているため)。水槽内の脳たちの処遇をどうするかは探索者が決めてください。
*祖母の死体、後輩の友人の死体を発見した探索者であればこの時点で彼女らの脳ではないかと察することが出来ても構いません。そしてその事実を脳だけの存在へ伝えるか否かは探索者の自由です。身体がとうに腐り、元には戻れないことを知った脳たちは死を望んでしまいます。

 ・部屋の左側、小さなテーブルの上にも黒い箱にコードで繋がれた円筒状の水槽があります。水槽内には人間の脳(後輩の脳)があります(*初めて見る場合は#SANc 0/1d4)が、こちらは話しかけても何も答えません。もっと詳しく調べようと水槽に近づけば、後輩が探索者を突き飛ばします(1d2ダメージ)。後輩は「ダメだダメだ、これは危険なものだ。近づくな。死にたくない。自分のものだ、触るな。やめてくれ。彼らに怒られる。助けてくれ」と支離滅裂にまくし立て始めます。それでも探索者が強引に装置に触ろうとすれば、後輩との戦闘になります。
*後輩のステータスはお助けNPCとして決めたもので構いません。戦闘技能がない場合は《こぶし》初期値で探索者を攻撃します。
・後輩との戦闘で気絶・死亡させた場合、倒れて床に打ちつけられた瞬間に後輩の頭頂部がザクロが開くように弾けます。そして中から指先サイズの白っぽい物体が大量にあふれ、いくつもいくつもこぼれ出してきます。《医学》《生物学》《知識1/2》の成功でその物体がネズミの脳だということが分かります(#SANc 0/1d4)。人体の臓器ではないものが詰め込まれていた後輩が今の今まで一緒に行動をしていた事実に探索者は怖気が走るでしょう(#SANc 1/1d6)。
*後輩は頭が弾けた時点で死亡が確定します、蘇生は出来ません。

・後輩との戦闘を避け、対人技能で落ち着かせて後輩の話を聞くことも出来ます。後輩は自分の脳を前にたどたどしく話します。「夢だと思ってた。信じられないが、夢で見た光景がここにある。化け物に会った。死にたくなかったら言うことを聞け、鉱石サンプルを探して持ってこい、鉱石を持ってきたら助けてやると化け物に言われた」と語り、「他にも何かあった、何か言われた気がするがどうしても思い出せない。だが化け物たちが探しているのは鉱石だから、それさえ渡せばなんとかなるはずだ」とも言います。後輩の話を受けて探索者がどうするかは自由です。
*未知の鉱石を所持せずに地下へ来た場合、‪ミ=ゴ‬と交渉は出来ずに後輩は助けられません。階段横のハッチ口からゴミ屋敷内に戻って再探索することは可能ですが、ハッチ口内を登るには《跳躍》でハッチ口に手をかけて《登攀》に2回連続で成功しなければいけません。

 《地下室2》

・地下室2に探索者が入ると、それぞれ作業をしていた‪ミ=ゴ2匹‬が振り返り近寄ってきます(#SANc 0/1d6)。室内を見渡す余裕があるなら《目星》で入って右角のハッチ口、中央の可動式のベッドに気づいてもいいです。

・後輩が生存している場合、後輩は‪ミ=ゴ‬の話を代弁します。探索者が未知の鉱石を所持していれば「それを渡せ。それを探していた。渡せば助けてやる」と言ってきます。ただその通りにミ=ゴ‬へ鉱石を渡せば、探索者たちのみの生還になります。

・後輩も助けたいと探索者が望んだ場合、ロールプレイでそのことをきちんと示してください。‪ミ=ゴ‬に対して対人技能を使っても構いません。‪ミ=ゴ‬がそれを良しとすれば後輩も生還します。成否の判断はKPにお任せします。

・後輩が死亡していて探索者が未知の鉱石を‪ミ=ゴ‬に渡そうとしない場合、‪1匹が所持する探索者を羽交い締めにしてもう1匹が鉱石を探し抜き取ります。鉱石を渡せば‪ミ=ゴ‬は離れ、探索者は生還します。他探索者が助けに入るなり頑なに抵抗すると、‪ミ=ゴ‬との戦闘になります。また、未知の鉱石を所持していない場合も‪ミ=ゴ‬は探索者に襲いかかります。

・‪ミ=ゴ‬2匹を気絶・死亡させると、五分と経たずに室内中央の天井から液体がぽたりぽたりと降ってきます。探索者は《目星》《聞き耳》でそれに気づき天井から降ってきた水滴が床の一部を溶かした瞬間を目撃し、さらに溶けた部分を中心に溶解が拡大しつつあることが分かります。《アイデア》でここに留まっていると自分も同じように溶けてしまうのではないか、早く脱出しなければ危険だと認識出来ます。

*地下室が溶解するまで10分、地下溶解によりゴミ屋敷の敷地が崩落するまでさらに5分かかるとさせていただきます。一応の目安です、KPが崩落まで何回行動出来ると決めても構いません。

《ハッチ口》

・ハッチ口の真下から上を見上げれば、光が見えます。それが陽光だと技能無しで気づいていいです。

・地下室1、2のハッチ口から地上へ脱出が出来ます。《跳躍》でハッチ口に手をかけ、《登攀》連続2回成功で地上にたどり着くことが出来ます。道具や火事場の馬鹿力での技能プラス補正があっても構いません。失敗した場合、落下ダメージと《跳躍》からのやり直しになります。

 

【シナリオクリア条件】

・ 基本クリア:探索者が地下から脱出し、ゴミ屋敷崩落から生還すること。

・トゥルーエンド:‪ミ=ゴ‬に未知の鉱石を渡して交渉し、後輩を元の体に戻してもらって探索者とともに生還すること。


【エンディング】

《‪生還した場合》

化け物に鉱石を渡した直後、地上にたどり着き慌てて敷地を出ようとした直後(*自力生還した場合)、探索者たちは失神するかのように意識を失った。

次に目を覚ました時には病院のベッドの上だった。医師や看護師の説明によれば、探索者はゴミ屋敷の崩落に巻き込まれて救助隊や警察に助け出されたのだという。警察の事情聴取のうちに探索者は詳しい話を聞く。後輩のこと(*)、ゴミ屋敷の地下に空洞があり普通ならば問題なかったそれが大量のゴミの重さで崩れたこと、身元不明の遺体数体と後輩の祖母らしき遺体が発見されたこと、それから―――。

さまざまなことを聞かされ、または聞かれて時間は過ぎていく。探索者たちは真実を知っている、だが口を噤む。ゴミ屋敷の地下に棲んでいたあの冒涜的な存在のことを誰がどうして話せるものだろうか。

*後輩が死亡した場合は後輩の遺体も発見された、後輩も生還の場合は探索者と同じ病院に入院しているが崩落事故に巻き込まれた影響か記憶が曖昧であることを聞かされます。

《脳缶ロストの場合》

こぽこぽこぽこぽ……。どこか心地よい音に微睡みから意識が浮上する。あれ?今まで何をしてたんだっけ、ここはどこだっけ。考えてみてもなぜだかよく思い出せない。こぽこぽこぽこぽ。音がどこまでも続く、続いていく。もういいや、疲れた眠いと考えることをやめる。また、意識が落ちていく。

探索者は気泡が水面に至る音を聞きながら眠る。ゴミ屋敷の地下に円筒状の水槽が増えた。探索者は新たな住人として、そこに永久に棲まう。

 

【シナリオクリア報酬】

・ 探索者の生還/SAN回復 1+1d6

・‪ミ=ゴ‬に未知の鉱石を渡し、交渉した/クトゥルフ神話技能 3%

・後輩の生還/SAN回復 1d8

 

【あとがき】

お疲れ様でした。これにて、クトゥルフ神話TRPGシナリオ〈ゴミ屋敷に棲まう〉は終了となります。半クローズドということでかなり強引な展開が多々ありますが、ご勘弁願います。

自由落下10mはルーニーを殺すためのトラップではなくミ=ゴ‬の出入口として設定しました、本当です信じてください。‪ミ=ゴ‬は毒ガスに弱いとのことで、それなら不潔なものは苦手なのではないかと想像をこねくり回した結果でゴミ屋敷がシナリオの舞台となっています。

初心者の作った雑で拙いシナリオではありますが、お楽しみいただければ幸いです。



*シナリオの改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。

*掲載画像は当シナリオ利用セッションでのみ、引用転載可とさせていただきます。他用途には使用出来ませんのでご注意ください。


2017/04/04 シナリオ〈ゴミ屋敷に棲まう〉公開

異常を認識できない異常

 シナリオ名:異常を認識できない異常 (いじょうをにんしきできないいじょう)

シナリオ製作者:ayabumi

 

【はじめに】

・当シナリオは〈クトゥルフの呼び声〉のクトゥルフ神話TRPGシステムを使用したものです。現代日本前提の閉ざされた町集落を舞台にしています。こちらのシナリオは1人プレイを想定しています。ですが複数人(2人〜3人)でのプレイも可能です。

・プレイ時間の目安として、ロールプレイをあまりやらないPLとのオフセテストプレイで9時間ほどかかりました。

・このシナリオにはメタフィクション要素が含まれています。PLのリアル正気度を削る恐れがありますので、ご注意ください。また、メタフィクション部分のキーパリングが多少難しいかもしれませんが、当シナリオの要ですので是非とも挑戦していただければと思います。

・元はシナリオ製作者の身内卓において、チート探索者を使い潰すために回した卓の突発シナリオです。ブラックジョーク要素で作ったものですので、その辺りご理解いただけると有難いです。

 

【あらすじ】

探索者はホテルの一室で目を覚ますが、どうしてここにいるのか前後の記憶がとても曖昧だ。ホテルにいた人々に尋ねれば、どうやらこの場所は無人の町であり、ここで開催される祭りに参加するために皆集まったらしい。この鬼ごっこのような祭りの勝者になれば、なんでも願いを叶えてくれる神様に会う機会が与えられるという。探索者は記憶も曖昧なまま、祭りに参加する。祭りの開始と同時に多数の化け物(ムーンビースト)たちが現れ、参加者たちを片っ端から虐殺していく光景を探索者は見る。探索者は化け物の脅威から逃げ、戦い、この閉ざされた異空間で生還しなければならない。

 

【各推奨項目】

・このシナリオは神話生物との戦闘シナリオだ、とKPがPLへはっきり伝えてくださるようお願いいたします。

・前提として、成人済みの高い戦闘技能を有する探索者を使用することが望ましいです。ステータスや技能は軒並み高い、いわゆるチートキャラの探索者製作をKPはそれとなく許可してあげてください。難しいシナリオだからなど理由はお好きにして構いませんが、チート探索者がこのシナリオのキーマンになるとはPLに悟らせないようにしてください。

・探索者の持ち物はご自由に。持ち運び出来る程度の銃火器や刀剣類、魔術・魔導書などの任意の持ち込みも可能です。《門の創造》など即時異空間から脱出出来る呪文の使用も一応可能ですが、この異空間を作った者が使用を許さないでしょう。

・時計は正常に時間を刻んでいます。しかし時間が本当に正しいかを探索者が知るすべはありません。

・携帯電話・スマホ・パソコンなどである程度の情報の閲覧は出来ますが、街の外と連絡を取ることは出来ません。

戦闘技能以外の推奨技能:《目星》《聞き耳》《隠れる》

 

 【シナリオ背景】

・黒幕はニャルラトホテプですが、この事態を引き起こした張本人は探索者自身です。化け物に追われ、逃げ隠れ、戦って勝利しヒーローになる探索者の妄想をかの神が面白がって実現させています。ニャルラトホテプはたくさんの人間を拐って、ドリームランドと現の狭間に無人の街という異空間を作って彼らを閉じ込め化け物たちの犠牲にしています。 しかし探索者はこの事態が自身の妄想を元にしていることも、犠牲者が探索者のために集められた実在する人間である事実も知りません。探索者がそれを知るのは黒い鳥居の先の黒い社にて、かの神と邂逅した時です。ニャルラトホテプは探索者が成してきた全てを愉快に嘲り笑いながら語り尽くすことでしょう。

 

【シナリオクリア・ロスト条件】

・このシナリオ内では戦闘で死亡しても、探索者は時間を数分巻き戻した上で敵のいない室内にて全快状態で目を覚まします。そのため、ケガ・死亡によるロストはないものとお考えください。狂気症状の弊害により死亡したとしても狂気に陥る前の状態で、復活します。ただし正気度は等しく削られていくので、正気度がゼロになった場合は一応の探索者ロストというかたちになります。

・探索者が祭りの勝者として、北の山の山頂の黒い社にいるニャルラトホテプの元にたどり着いて願いを叶えてもらえば一応シナリオとしてはクリア扱いになります。

 

NPCについて】

・ 祭りの参加者は100人程度になります。彼らはニャルラトホテプの手により、拉致されてきた犠牲者役の人間たちです。NPCたちの記憶は『この町で鬼ごっこのような祭りがあり、それに参加するためにここにいる』というふうに改ざんされています。

・参加者の大半はモブキャラとしてムーンビーストに捕まり、虐殺されて数を減らしていきます。探索者と同じように復活するということはありません。ただ死んでいくだけの存在です。

・探索者の他にチートNPCが一人います、KPの任意で探索者に同行させてください。彼女はニャルラトホテプの化身ではありますが、かの神である自覚はありません。自覚のないまま、探索者の行動を観察し手助けする役目を担うことになります。

〔 チートNPC:葉山チサト 23歳 女子大学生(放浪者)

自分探しの旅で日本全国を旅していたが、気づいたらこの無人の町に放り込まれていた。空手の有段者であり、実家が古武術道場を営んでいる。少し正義感が強く周囲から偽善的に感じられてしまうことに悩んでいる。

STR/14 DEX/13 INT/13 CON/11

APP/14 POW/16 SIZ/12 SAN/80 EDU/17

イデア/65 幸運/80 知識/85

HP/12 MP/16 db/+1d4

《目星 70%》《聞き耳 85%》《図書館 65%》《言いくるめ 60%》《隠れる 70%》《忍び歩き 50%》《回避 66%》

《武道(古武術) 55%》《こぶし 70%》《キック 60%》《組みつき 46%》

*性別や技能は探索者に応じて変更しても構いません。 また、チートNPCは合流後の探索者に常に追随します。〕

*複数人でのプレイの場合、探索者たちは全員ニャルラトホテプに見込まれた、チート妄想を持つ者になります。

・祭りにて探索者や参加者を襲撃する鬼役は、参加者の半分の数+1d20匹のムーンビーストと1d3匹のシャンタク鳥になります。他星の精、ビヤーキーや忌まわしき狩人など追加はお好きにどうぞ。神話生物のステータスは基本ルルブ準拠ですが、探索者の能力やダイス目に合わせて調整してくださって構いません。

ムーンビーストの技能値他:《投槍 25%》《槍を突き刺す 50% 1d8+1》《組みつき 70%》《目星 50%》《聞き耳 50%》《追跡 50%》《呪文:無欠の投擲 詠唱1ラウンド後に投槍技能+70%》

シャンタク鳥の技能値他:《噛みつき 55%》《かぎ爪 50% 1d6+db》《目星 25%》《聞き耳 25%》《追跡 70%》

 

【導入】

『 微睡みの中、暗闇であなたは誰かの声を聞く。荒げている声音はあなたに感情をぶつけているようだ。だが、耳を澄ませても言葉は聞き取れない。なぜだ?……ああ、これは夢だ。現実ではない。だから聞き取れなくて当然だ、いやむしろ耳を傾ける必要もない。どうしてかあなたはそう納得してしまった。 』

・探索者はホテルの一室で目を覚まします。直前まで夢を見ていたようだが思い出せません。

・シングルらしい手狭な室内には探索者の持ち物がなぜか放り投げられたように乱雑に散らばっていますが、それらを除けばいたって普通のホテルの部屋です。真新しいユニットバスは普通に使えて電気も通っています。

・窓の外を見れば、眼下には雑居ビルや民家が連なる街並み、遠くに川を眺めることが出来るでしょう。異質なものといえば、道路にまたがる大きな黒い鳥居が見えます。また、外には不思議なことに人の姿や車が見当たりません。

・探索者はどうしてここにいるのか、今まで何をしていたのかがなぜか思い出せません。自分が何者であるかは知っていますが、ここ数日の記憶はありません。

 

【導入後―祭り開始まで】

・部屋の外が騒がしいことに気がつきます。耳を澄ませば、何人かの人々が浮き足立つように楽しげな会話が聞こえました。ドアを開けると、人々がエレベーターを待っているのが見えます。その一人が探索者に気づき、「あんた、まだ寝ていたのか?何やってるんだ、もう祭りの始まる時間だぞ」と笑います。

・人々に従って一階に降りてホテルロビーから外に出ると、老若男女さまざまな人々が黒い鳥居(地図:⑦ビジネスホテルから近い、南から二番目の鳥居)の下に集まりつつあります。

・彼らに尋ねるなり、会話に耳を傾けるなりをして探索者は今の状況を知るでしょう。『鬼ごっこのような祭りがある。この祭りに勝利すれば、山にいる神様がなんでも願いを叶えてくれる。自分たちは幸運にも祭りに参加する権利が与えられた』と。しかし人々はこれ以上の情報を知らないようです、あまつさえこの状況に何の疑問も持っていません。

・昼の12時。南の方角に狼煙が三発上がりました。南からこちらへ走ってくる化け物(ムーンビースト)の群れが見えました(#SANc 0/1d8)。探索者が驚いている横を人々が『祭りが始まった。死にたくなかったら逃げろ!』と散り散りに逃げていきます。上空を大きな影が横切りました、見上げれば大きな翼を持った象のような体躯の化け物(シャンタク鳥)が人々を追うように飛んでいきます(#SANc 0/1d6)。そして、逃げ惑う人々を片っ端から噛みついていきました。探索者の元にも襲われた人間の血が飛び散り、肉が降り注いできます(#SANc 1/1d4+1)。

・祭り開始以降、探索者は行動を起こさなければ即座に死にます。→死亡による【強制イベント】へ。

 

【シナリオの舞台―無人の街】

f:id:guruguru18:20170207195500p:image

・ 便宜上、地図の緑線から上部を山側として、この方角を北とさせていただきます。水色の線が川、太い茶線が国道のような主要道路、細い茶線が市道のような主要道路です。五つの黒い線が大きな黒い鳥居になります。

・街全体として小さな地方都市の一角、山沿いの盆地という印象で構わないです。いちばん南の鳥居から北の山の麓までは歩いて90分かかる距離としています。山道を登るには40分くらいかかるものとしました。

・地図に表記している施設以外、コンビニなどの小売店や民家は町中に点在しているとしても構いません。

北:雑木が生い茂る山がある。山頂に黒い社がある。山道は舗装されているが崖際になっている。黒い社の裏手、山の向こうは切り立った垂直の崖になっていて底が見えない。

東:流れがゆるやかで浅い川があり、堤防沿いには工場地帯が続く。地平線まで続く見通しの良い田園の中にぽつぽつと農業を営む民家がある。東へ真っ直ぐ進むと西の開発途中の新興住宅地に出る。

西:建売のような民家と小さな公園が並ぶ新興住宅地。西向こうは開発途中の新興住宅地の空き地が地平線まで続く。西に真っ直ぐ進むと東の田園に出る。

南:黒い鳥居の先の南の道は全て水没していて、深く霧が立ち込める湖のようで果てはない。

①スーパー&ホームセンター ②総合病院 ③図書館 ④コミュニティセンター ⑤警察署 ⑥消防署 ⑦ビジネスホテル ⑧小学校 ⑨ショッピングモール ⑩倉庫群

・黒い鳥居:周囲の建物より一際大きく、漆が全面に塗られたような漆黒の鳥居。一般的に鳥居は神域と俗世の境であり、門にあたる。*探索者が鳥居に触れると【強制イベント】の白昼夢を見る。

・黒い社:玉石が敷き詰められた境内があり、黒い鳥居同様漆が全面に塗られたような漆黒の神社。*社の中には《呪文:ニャルラトホテプとの接触》のが発動する石板が置かれている。

 

【探索について】

・商業公共施設、民家はどれも真新しく、置いてある家具道具や車などにも使われた形跡はありません。まるでハリボテのようです。探索者は《目星》などでそれに気づき、『祭りのためにこの街が作られたのではないか』と考えてしまいます(#SANc 0/1)。

・探索者は施設の道具商品、食料などを任意で持ち物に加えることが出来ます。

・これら施設、民家などに脱出のヒントは一切ありません。二、三ヶ所の探索後に《アイデア》などで『この空間を作った者はここから脱出させる気がないのではないか』と気づかせてあげてください。

・また、インターネットやテレビ番組から『一夜にして100人以上が同時に失踪した。失踪者は就寝後の部屋から突然姿を消した者も多い、神隠しか』という情報が得られても良いです。

 

【他者・敵との遭遇】

・チートNPC葉山チサトとは早めの合流が無難です。下記遭遇表のいずれかで探索者の助けに入ったり、または逆に探索者から助けられる場面だったりで合流を促すべきでしょう。

・探索中探索後または移動のタイミングで、1d10のムーンビーストとの遭遇表をKPがシークレットダイスで振ってください。その後に探索者に《目星》《聞き耳》のいずれかまたは両方を振らせて、状況判断が出来るかどうかの判定をしてください。その際に探索者にとって不利有利の遭遇具合に応じて、判定にプラマイ修正をお願いします。

1:辺りにムーンビーストの気配はまったくない。→移動に問題はない。

2:少し離れた場所でムーンビーストが1匹、人間の死体を弄んでいるのが見えた。ムーンビーストがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はない。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(ムーンビースト《聞き耳 50−30%》で探索者に気づく)

3:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、人間の死体を弄んでいるのが見えた。ムーンビーストたちがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はない。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《聞き耳 50−30%》で探索者に気づく)

4:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。ムーンビーストたちがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はないが移動ルートは考えたほうが良さそうだ。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《目星or聞き耳 50−30%》で探索者を見つける)

5:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。参加者は探索者のいる場所へと逃げてきそうだ。→探索者は移動か隠れるか、早く行動を決めなければならない。多少の音を立てても問題はないが移動ルートは考えたほうが良さそうだ。また、ムーンビーストを待ち伏せて不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《目星 50−15%》で探索者を見つける)

6:1匹のムーンビーストに待ち伏せを受ける。→隙をつけば逃走は可能だろう。(逃走の場合、探索者とムーンビーストとのDEX対抗)

7:近くでムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。逃げてくる参加者は探索者に気づいて、「助けてくれ!」と叫んだ。→まだムーンビーストとの距離はあるが、探索者が移動する方向に参加者と追跡するムーンビーストたちもついてくる。(各ムーンビースト《目星 50%》で判定、成功した場合《投槍 25%》を探索者へ仕掛ける)

8:半狂乱の参加者と出くわす。「死にたくない!助けてくれ!」と探索者にすがりついて泣き叫び続ける参加者の声は、近くのムーンビーストたちを呼び寄せる。→探索者は参加者を落ち着かせて、早くその場を離れなければならない。(ムーンビースト《聞き耳 50%》の判定成功により、1+1d5匹のムーンビーストが駆けつける。判定失敗でも1d3ラウンド後にムーンビーストは駆けつける)

9:1+1d5匹のムーンビーストに待ち伏せを受ける。→探索者は戦闘回避不可。隙をつけば逃走は可能かもしれない。(逃走の場合、探索者と各ムーンビーストとのDEX対抗)

0:1d3匹のムーンビーストが探索者へ不意打ちで《呪文:無欠の投擲》を施した《投槍 25+70%》を放ってくる。→探索者は回避不可。《投槍 25+70%》の判定成功で探索者は1d10+1+dbのダメージを受ける。

 ・シャンタク鳥との遭遇については東西南北エリアを1d4で割り振り、探索者のいるエリアにシャンタク鳥がいるかどうかをまず判定してください。さらに探索者の《幸運》で近くにシャンタク鳥がいるかどうか、そしてシャンタク鳥の《目星 25%》で上空から探索者を発見出来るかを判定してください。

探索者を発見した場合、シャンタク鳥は大きく雄叫びのような鳴き声をあげてムーンビーストを1+1d8匹呼び寄せます。シャンタク鳥も《追跡 70%》で探索者を追い立て、上空から強襲を仕掛けてきます。

*シャンタク鳥との遭遇は探索毎移動毎の判定ではなく、エリア移動毎での判定で構いません。シャンタク鳥の目星聞き耳が初期値ですので、少数で行動する探索者は発見される可能性が低くなっています。

 

【時間経過天候変化・戦闘逃走・死亡処理について】

・時間経過や天候変化は各卓のルールでお好きにしていただいて構いません。昼12時から祭りが始まるので、三時間毎に狼煙をあげて時間経過を分かりやすく教えてもいいと思います。また、睡眠による【強制イベント】を促すために空腹や睡眠ペナルティーはきちんと取ってください。

・時間経過による生存者の減少については祭りが始まった昼12時より24時間経過で参加者半数が死亡、さらに24時間経過では半数の半分が死亡、さらに12時間経過で生存者はほぼいないものとしてください。その後、昼12時に再び参加者が同数追加されますので時間経過すればするほどに犠牲者が増えていくかたちになっています。

・戦闘逃走処理はルルブ準拠、各卓の処理にお任せします。ハウスルールで処理していただいて構いませんが、探索者が生き残り過ぎないようお願いいたします。

・死亡処理については、探索者のロールプレイ次第ではありますが意識を失った描写の後に【強制イベント】へ移行してください。【強制イベント】の後に安全な施設内で探索者は目を覚まします。肉体的には全快していますが、死亡した記憶ははっきりと残っているので正気度は減ります(#SANc 1d3/1d8)。

 

【強制イベント】

・強制イベントは探索者が黒い鳥居に触れた時、気絶・死亡により意識を失った時、 睡眠時に起こります。【導入】冒頭の誰かに何かを言われているシーンを白昼夢、幻覚としてより具体的に見聞きすることが出来ます。

・こちらは真相に関するのヒントイベントなので、プレイングによって意識を失うことがない探索者にはタイミングを見計らって脈絡なく強制的に気絶させても構いません。

・探索者に呼びかけているのは探索者自身です、探索者の人間としての意志がこんなところにいてはいけないと無意識下から呼びかけているシーンになります。ですが探索者は自身の異常性に気づいていないうちは他人に呼びかけられる、異常な誰かの記憶を追憶するようなシーンとなるはずです。ニャルラトホテプはこの現象に気づいていますが、より探索者を苦悩させることが出来るだろうと傍観を決め込んでいます。

『「キャハハハハハハ!」暗闇の中、背後から狂った女の笑い声が追いかけてくる。あなたは誰かに手を引かれて、必死に走る。寒気が頰を掠めた。恐る恐る見やると肩越しに女の赤髪がさらりと揺らめき、紅色の唇がぬるりとカタチを変えた。「どうして逃げるの?」「私はあなたのためにここにいるのに」「ねえ、どうして?」「あなたが私を呼んでくれたんでしょう?」あなたは手を引かれて逃げ続ける。赤い女はあなたをどこまでも追い続ける。―――そこで目が覚めた。』

『ここはいつもの高架下だ。あなたは電車が走り去るけたたましい音の中にたたずんでいる。白色蛍光灯の下、灰色のコンクリートの壁には大きく書き殴られた赤い文字があった。あなたは右を見る。“何をしている?”あなたは左を見る。“そんなに楽しいのか?”あなたは正面を見る。目の前に立っている黒い人影が真っ赤な口を開いて、怒声をあげた。「おまえはいつまでそこにいる気だ!!」―――そこで目が覚めた。』

『気がつくと、あなたは見覚えのない部屋にいる。パソコンの薄明かりに映るのは至る所に書籍が積み重なる、窓のない部屋だ。あなたは机の明かりを頼りに本を一心不乱に読んでいる。しかし手元にある本は外国語で書かれているらしく、あなたにはまるで意味がつかめない……はずだった。自分にはこの意味が分かる、読める、理解出来る。それもそのはずだ!ここまで至るのにどれだけ苦労したことか!ようやく、ようやく夢を叶えられる!!―――そこで目が覚めた。』

『あなたは広い部屋の中に立っている。手には古い本、書き殴られた資料。足元には意味不明な記号や文字が連なった真っ赤な円陣。まるで映画のセットのような、作り物じみたシチュエーションだった。だがこれが正解のはずだ。詠唱する唇が震えていたのは最初だけで、あとは取り憑かれたようにその名を口にする。「いあ!いあ!ニャルラトホテプ!!」―――そこで目が覚めた。』

『ここはいつもの高架下だ。あなたは電車が走り去るけたたましい音の中にたたずんでいる。白色蛍光灯の下、灰色のコンクリートの壁には大きく書き殴られた赤い文字があった。あなたは右を見る。“夢が叶った気分はどうだ?”あなたは左を見る。“化け物殺しがそんなに楽しいか?”あなたは正面を見る。目の前に立っている黒い人影が真っ赤な口を開いて、怒声をあげた。「おまえはヒーローなんかじゃない!!」―――そこで目が覚めた。』

 

【黒い社に到着―ニャルラトホテプとの対面】

 ・黒い社にムーンビーストらはいません、静まり返っています。社本殿の中に入ると白い明かりがぽつぽつと灯っていて、あとはがらんどうに見えます。中央に一抱えほどある石板が置かれていて、石板には日本語で『親愛なる友人へ』と文字が彫られています。

・石板の文字を読むと、《呪文:ニャルラトホテプとの接触》が発動します(代償:1POW+SAN1d6)。《幸運》ロールは必要ありません、かの神はこの地で探索者を待っていました。

・探索者が石板から顔を上げると、ニャルラトホテプが目の前にいます。かの神は人間の姿をしていて、探索者が何を言っても友人扱いをやめないでしょう。

「この街はどうだ?」「楽しかったか?」「何か足りないものがあるなら言ってくれ」「友人のキミの頼みだ、いくらでも譲歩しよう」「不満そうな顔をしているな、どうした?」「だって、楽しかっただろう?」「キミの望む通りの力を手に入れて遊んだんだ、面白かろう?」「死んで生き返った気分はどうだ?実に昂ぶっただろう?」「ムーンビーストたちを殺して勝って、嬉しかっただろう?」「なあ、聞いているのか。私はキミに言っているんだぞ、プレイヤー!!」

*KPはニャルラトホテプの代弁者として、徐々に探索者→PLに向かって語りかけを移行していってください。揶揄が通じるPL相手でしたら、今回の探索者の行動や戦闘を多少揶揄するように面白おかしく感想を述べてもいいと思います。

・PLのリアル正気度を十二分に削ったところで、探索者に『チート能力を棄てて現実に還る』か『この町に残り、チート探索者を続ける』かを選択させてください。ニャルラトホテプはどちらの選択も探索者の願いとして受け入れます。

 

【シナリオクリア―エピローグ】

 ・無人の町に残った場合:『ホテルの室内であなたは再び目覚める。もちろん記憶はある。そして、誰も邪魔するものはいない。部屋の外はがやがやと騒がしく、新たな参加者たちが祭りの始まりを今か今かと待ちわびているようだ。あなたもまた逸る気持ちを早足に変えて、黒い鳥居の元へ向かうのだろう。』

・現実に還った場合:『あなたは病室で目を覚ます。そして神隠しだと騒がれた集団行方不明事件の結末を知ることになるだろう、行方不明者たちの無惨な死体が次々と発見されていることを。あなたは唯一の生存者として、一時期矢面に立たされる。だが閉ざされた町で行なわれたあの残虐な祭りについて、あなたは語る言葉を持っているのだろうか。あなたのせいで、あなたのために彼らは殺されたのに―――。』

 

【シナリオクリア報酬】

*共通

・《クトゥルフ神話技能》+25%

・《呪文:ニャルラトホテプとの接触》取得

・《魔導書:ネクロノミコン(ラテン語版)》所持 (探索者が真相を理解している場合、魔導書を熟読し研究した記憶も所持。#SANc 1d10/1d20)

・各技能成長

無人の町に残った場合

・正気度回復 SAN1d8+2 (自身の望みを叶えていることに対して)

・正気度を回復させた上で、正気度をPLの任意で増減させてください。任意の不定の狂気を発症してもいいです。(異空間に居続けることに対して)

*現実に還った場合

・正気度回復 SAN1d10+1 (異常な空間から脱したことに対して)

・真相を理解している場合は、正気度を回復させた上でさらに正気度をPLの任意で増減させてください。任意の不定の狂気を発症してもいいです。(自身の行いのせいで多数の犠牲者を出したことに対して)

 

 【あとがき】

お疲れ様でした。これにて、クトゥルフ神話TRPGシナリオ〈異常を認識できない異常〉は終了となります。初心者の作った雑で拙いシナリオではありますが、ご利用いただければ幸いです。

 

*改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。

 *掲載画像(地図)は当シナリオ利用セッションでのみ、引用転載可とさせていただきます。他用途には使用出来ませんのでご注意ください。

 

2017/02/08 シナリオ〈異常を認識できない異常〉公開