TRPGシナリオ 配布場

クトゥルフ神話TRPGシステムを使ったシナリオを公開しています。一応グロ、精神グロ表現注意です

風呂と触手と私

シナリオ名:風呂と触手と私 (ふろとしょくしゅとわたし)
製作者名:ayabumi

【はじめに】
こちらは《クトゥルフの呼び声》のTRPGシステムを使用した、ソロ推奨の30分リアルタイムプレイのクローズドシナリオです。初心者には向きません、何度かクトゥルフ神話TRPGを遊んだことのあるPL向きになります。
探索者が自宅の風呂に入ろうとしたら湯船から触手が脈絡なく飛び出てきたので、問答無用に浴室内で全裸のまま触手の攻撃に抗い逃げ続けながら打開策を見つけて生還を目指す、的な間違うことなくネタシナリオです。お気をつけください。

 

【推奨項目など】

・成人済み探索者を推奨。他性別性癖人種職種制限は特になし。継続探索者可。

・推奨技能は特になし。ただしDEXとSTRがそこそこな値でないと詰む可能性あり。

・このシナリオにおいて、入浴時に一般的に持ち込むだろう物以外の持ち物の所持を絶対に認めない。絶対にだ。

 

【時間経過について】

クトゥルフ神話TRPGに慣れたPLだと30分もいらないかもしれないが、基本30分リアルタイムの時間制限とする。

・KPは事前にこのシナリオはリアルタイムの時間制限だとPLに伝えること。

・浴室に探索者が全裸で足を踏み入れた時点(導入後)から時間制限を開始すること。

・触手のみの行動で前半10分、従者の行動がプラスされて後半20分の時間経過とするとわかりやすいだろう。

 

【シナリオ背景】

たまたまグラーキの従者たちが探索者の家の近所にある公園の池でグラーキ召喚の儀式をしましたが、生贄が足りませんでした。不満げなグラーキ様は偶然にも近くの水辺(湯船)そばに無防備な人間(探索者)を見つけて、自ら触手を伸ばすことにしました。従者たちはグラーキ様の行動に慌てて支援に走ったのです。

ただ、グラーキの従者たちの中に一人裏切り者がいました。《平凡な見せかけ》によって従者のふりをしている狂信者(魔術師)です。彼はグラーキを信仰こそしてはいましたが従者になる気はありませんでした、自分だけは助かりたい狂信者にあるまじき愚か者であったのです。

 

【導入】

探索者は夜勤明けか遊び明けか、または理不尽な悪夢を見て胸糞の悪い目覚めを迎えたか、何にせよ明け方際に自宅の風呂に入る。入るったら入る。

バスタブに湯を張って入浴剤でも入れるだろうか、良い加減に風呂の準備をこなした後に意気揚々と服を脱いで湯気があふれる浴室に足を踏み入れた。

だが、湯船を見下ろせば真っ黒だった。今し方入れた入浴剤の色とはまったく違う、濁った泥水のようなものがバスタブに溜まっていた。どうして、なぜとの疑問符をかき消すが如くにごぼごぼ、ごぼごぼと激しく泡立つ水面。そして次の瞬間、水面下から一本の触手が飛び出してきた。

*湯船の準備に際して、PLがイメージする浴室内の描写を明確にすること。 KPは浴室内にあるまじきものを造らせないよう注意する。

#せっかくの湯船が泥水化 SANc 0/1  

#突然バスタブ底から触手が飛び出してきた SANc 0/1d4+1

 

【グラーキの触手(棘)の行動】

触手は生贄を得ようと行動するため、このシナリオ内では探索者をグラーキの従者にしようとはしない。探索者を捕まえて水面下へ引きずり込もうとするだけだ。そのため、探索者が激しく抵抗したり予想外の行動を取ると様子を見たりする。

・このグラーキの触手の主なステータスはSTR15、DEX12、HP20とする。また、湯船から飛び出た分の触手のSIZは探索者と同値とする。

・グラーキの触手は30分の間に5回行動もとい探索者を5回捕縛しようとする。単純計算で6分1回だが、1回行動分のラウンド数はKPの采配次第で構わない。なお最後の捕縛行動は確実に探索者を捕らえる時間切れのお知らせなので、行動数に入れなくてもいいかもしれない。(*探索者が相対出来る触手の行動は実質4回になる)

・触手は以下の三つの行動をする。探索者の行動を受けてでも1d3のランダムでの行動決めでも構わない。

《攻撃》はたく、叩きつける行動:40% 1+1d3のダメージ

《捕縛》組みつく行動:25% 1ラウンド後に探索者を水面下へ引きずり込む。*STR対抗可

《様子見》動きを止めて、探索者の行動を見定める。

・触手はグラーキの従者には見向きもしない。生贄を欲しているため、浴室内に存在する生きている人間以外には興味はない。

・なお触手のHPが半分以下になると同ステータスの新たな触手が増える。2本になる。

 #触手は探索者を捕縛しようとしてるっぽい。マジやばい。マジこわい。SANc 0/1d3

 #せっかくHP削ったのに触手が2本に増えた。SANc 1/1d4

 

【浴室内で探索者が出来る行動】

浴室内にて全裸で出来る行動ならなんでも自由に、PLが考えうる限りに出来る。グラーキの触手から逃げ続けるもよし、浴室内にある道具で受け流しをするもよしだ。探索者のステータスや技能を使って、いくらでも抗ってみせろ。

・《回避》に振っていないまたは低い探索者は救済措置として、DEX×4で回避出来ることにする。

・探索者の行動には手持ちの技能成功によるプラス補正をいくらでもつけることが可能とする。これは触手に捕縛された時のSTR対抗にも同様である。(*《登攀》《跳躍》などの成功で人間にあるまじき動きをして触手の虚をつく、《投擲》で何か物を投げて触手の的を逸らすなど)

・触手に攻撃を加えることは推奨しない。HP20もある上に、半分以下になると触手は増える。KPはそれとなく示唆すること。

・もちろん探索者は浴室の外へ逃げ出すことも可能だ。ただし浴室外にはグラーキの従者たちがみっちりと集まっている。→【グラーキの従者たちの行動】

 

【グラーキの従者たちの行動】

グラーキの従者たちは探索者が触手に遭遇した後に探索者の自宅へぞろぞろと侵入してくる。浴室内には入らないが、浴室の外、脱衣場にまでみっちりと入ってくる。人数は自宅の広さにもよるが10+2d10程度が妥当なところだろう。

従者は探索者を浴室の外に出そうとはしない、無理矢理に逃げ出そうとするものなら数に任せて浴室内へと探索者を押し返す。

なお、浴室のドアを開けた先、探索者の見える範囲に必ずグラーキの従者に偽装した狂信者がいる。

・グラーキの従者のステータスはルルブの平均値準拠とする。姿かたちは薄汚いローブ姿だが全員フードは取り去り、アンデットのような顔を晒している。

・狂信者は不定の狂気《心因性四肢機能障害》を発症していて左脚が麻痺状態にあるために現在はDEX5、STR9とする。他性別ステータス技能値などはKPが決めても構わない。ただし狂信者のSANは不定の狂気発症値分だけ減らすこと。

・狂信者はローブ姿でフードを目深に被り、《平凡な見せかけ》をかけた仮面をつけている。当シナリオ内でのこの魔術の効果は『周囲から平凡な“同類”に見える偽装』とする。

 #自分の家の中にアンデットらしきもの(グラーキの従者)たちが大量にいるさまを見る。SANc 1/1+1d8

 

【打開策の示唆】

狂信者を身代わりにすれば探索者は助かる。グラーキの触手は生贄が欲しいだけであるし、グラーキの従者たちもグラーキが生贄を得れば主の満足に同調して去っていく。

・浴室のドアを開けた先で密集するアンデット(グラーキの従者)たちの中に一人だけローブのフードを目深に被った仮面の人物(狂信者)がいることに、探索者に気づかせる。《目星》使用でも野生の勘でもいい、KPは探索者に狂信者を見つけさせろ。

・狂信者を見つけた探索者は《アイデア》成功で「なぜ平凡な“人間”が平然とアンデットたちの中にいるのだろうか」と違和感を覚える。(*狂信者は《平凡な見せかけ》により従者たち視点からは従者、探索者視点からは人間に見える)

・PLが狂信者をなんとかしたらこの事態から生還出来る、と考えついたら上出来だ。STR対抗などを駆使して探索者が狂信者を浴室内へ引っ張り込めれば、触手が“浴室内の生きている人間”を生贄として捕らえるだろう。

 

【エピローグ】

「おい、やめろ!私は生贄じゃない!!生贄はこの人間―――ギャアアアアアアッッ!!!」

浴室内に響く怒声は次の瞬間、悲鳴に変わった。バキボキ、グシャリと人体を肉塊へ変える凄惨な音が轟く。血が、肉が飛び散る。触手に捕らえられた人間は力任せにバスタブにねじ込まれ、無理矢理に水面下へ沈んでいく。助けて、と聞こえた気がした。だがそれすらもゴボゴボゴボ…と水面に弾ける音にかき消された。

あとに残ったのは、ただただ静寂。いつのまにか従者たちは去り、探索者だけが一人たたずんでいた。全裸で。

浴室内は血まみれ、脱衣場は土足の足跡まみれ。バスタブに湯船はない、泥水のような淀んだ水が溜まっているだけだ。全裸の探索者は唖然と呆然とその惨状を見渡した。さて、これからどうしようか。

 #(KPの任意で)浴室の惨状に正気度喪失 1d3

 

【クリア報酬】

・正気度回復 1d6

 

【蛇足的な補足】

・当シナリオはソロ推奨ですが、複数人でもプレイは一応可能です。その場合同時多発的に各探索者の自宅の浴室で触手が出現し従者たちが殺到した事態が起こったとして、狂信者は探索者のうちの一人の家に行ったことにすればいいです。シナリオ製作者は一度PL5人で回しました。頑張れば出来ます。

・当初30分クトゥルフではなかったのですが、このシナリオ1時間もかからなくね?と気づいてどうせなら30分時間制限にしようとなりました。ですから、時間制限は別に無視して遊んでも構いません。好きに遊んでください、探索者を全裸で神話生物に対峙させたかっただけのシナリオですので。

 

【さいごに】

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。ネタシナリオなので全体的にかなり雑ではありますが遊んでいただけたら幸いです。

 

 

*シナリオの改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。


2018/12/15 シナリオ〈風呂と触手と私〉公開