読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TRPGシナリオ 配布場

クトゥルフ神話TRPGシステムを使ったシナリオを公開しています。一応グロ、精神グロ表現注意です

異常を認識できない異常

 シナリオ名:異常を認識できない異常 (いじょうをにんしきできないいじょう)

シナリオ製作者:ayabumi

 

【はじめに】

・当シナリオは〈クトゥルフの呼び声〉のクトゥルフ神話TRPGシステムを使用したものです。現代日本前提の閉ざされた町集落を舞台にしています。こちらのシナリオは1人プレイを想定しています。ですが複数人(2人〜3人)でのプレイも可能です。

・プレイ時間の目安として、ロールプレイをあまりやらないPLとのオフセテストプレイで9時間ほどかかりました。

・このシナリオにはメタフィクション要素が含まれています。PLのリアル正気度を削る恐れがありますので、ご注意ください。また、メタフィクション部分のキーパリングが多少難しいかもしれませんが、当シナリオの要ですので是非とも挑戦していただければと思います。

・元はシナリオ製作者の身内卓において、チート探索者を使い潰すために回した卓の突発シナリオです。ブラックジョーク要素で作ったものですので、その辺りご理解いただけると有難いです。

 

【あらすじ】

探索者はホテルの一室で目を覚ますが、どうしてここにいるのか前後の記憶がとても曖昧だ。ホテルにいた人々に尋ねれば、どうやらこの場所は無人の町であり、ここで開催される祭りに参加するために皆集まったらしい。この鬼ごっこのような祭りの勝者になれば、なんでも願いを叶えてくれる神様に会う機会が与えられるという。探索者は記憶も曖昧なまま、祭りに参加する。祭りの開始と同時に多数の化け物(ムーンビースト)たちが現れ、参加者たちを片っ端から虐殺していく光景を探索者は見る。探索者は化け物の脅威から逃げ、戦い、この閉ざされた異空間で生還しなければならない。

 

【各推奨項目】

・このシナリオは神話生物との戦闘シナリオだ、とKPがPLへはっきり伝えてくださるようお願いいたします。

・前提として、成人済みの高い戦闘技能を有する探索者を使用することが望ましいです。ステータスや技能は軒並み高い、いわゆるチートキャラの探索者製作をKPはそれとなく許可してあげてください。難しいシナリオだからなど理由はお好きにして構いませんが、チート探索者がこのシナリオのキーマンになるとはPLに悟らせないようにしてください。

・探索者の持ち物はご自由に。持ち運び出来る程度の銃火器や刀剣類、魔術・魔導書などの任意の持ち込みも可能です。《門の創造》など即時異空間から脱出出来る呪文の使用も一応可能ですが、この異空間を作った者が使用を許さないでしょう。

・時計は正常に時間を刻んでいます。しかし時間が本当に正しいかを探索者が知るすべはありません。

・携帯電話・スマホ・パソコンなどである程度の情報の閲覧は出来ますが、街の外と連絡を取ることは出来ません。

戦闘技能以外の推奨技能:《目星》《聞き耳》《隠れる》

 

 【シナリオ背景】

・黒幕はニャルラトホテプですが、この事態を引き起こした張本人は探索者自身です。化け物に追われ、逃げ隠れ、戦って勝利しヒーローになる探索者の妄想をかの神が面白がって実現させています。ニャルラトホテプはたくさんの人間を拐って、ドリームランドと現の狭間に無人の街という異空間を作って彼らを閉じ込め化け物たちの犠牲にしています。 しかし探索者はこの事態が自身の妄想を元にしていることも、犠牲者が探索者のために集められた実在する人間である事実も知りません。探索者がそれを知るのは黒い鳥居の先の黒い社にて、かの神と邂逅した時です。ニャルラトホテプは探索者が成してきた全てを愉快に嘲り笑いながら語り尽くすことでしょう。

 

【シナリオクリア・ロスト条件】

・このシナリオ内では戦闘で死亡しても、探索者は時間を数分巻き戻した上で敵のいない室内にて全快状態で目を覚まします。そのため、ケガ・死亡によるロストはないものとお考えください。狂気症状の弊害により死亡したとしても狂気に陥る前の状態で、復活します。ただし正気度は等しく削られていくので、正気度がゼロになった場合は一応の探索者ロストというかたちになります。

・探索者が祭りの勝者として、北の山の山頂の黒い社にいるニャルラトホテプの元にたどり着いて願いを叶えてもらえば一応シナリオとしてはクリア扱いになります。

 

NPCについて】

・ 祭りの参加者は100人程度になります。彼らはニャルラトホテプの手により、拉致されてきた犠牲者役の人間たちです。NPCたちの記憶は『この町で鬼ごっこのような祭りがあり、それに参加するためにここにいる』というふうに改ざんされています。

・参加者の大半はモブキャラとしてムーンビーストに捕まり、虐殺されて数を減らしていきます。探索者と同じように復活するということはありません。ただ死んでいくだけの存在です。

・探索者の他にチートNPCが一人います、KPの任意で探索者に同行させてください。彼女はニャルラトホテプの化身ではありますが、かの神である自覚はありません。自覚のないまま、探索者の行動を観察し手助けする役目を担うことになります。

〔 チートNPC:葉山チサト 23歳 女子大学生(放浪者)

自分探しの旅で日本全国を旅していたが、気づいたらこの無人の町に放り込まれていた。空手の有段者であり、実家が古武術道場を営んでいる。少し正義感が強く周囲から偽善的に感じられてしまうことに悩んでいる。

STR/14 DEX/13 INT/13 CON/11

APP/14 POW/16 SIZ/12 SAN/80 EDU/17

イデア/65 幸運/80 知識/85

HP/12 MP/16 db/+1d4

《目星 70%》《聞き耳 85%》《図書館 65%》《言いくるめ 60%》《隠れる 70%》《忍び歩き 50%》《回避 66%》

《武道(古武術) 55%》《こぶし 70%》《キック 60%》《組みつき 46%》

*性別や技能は探索者に応じて変更しても構いません。 また、チートNPCは合流後の探索者に常に追随します。〕

*複数人でのプレイの場合、探索者たちは全員ニャルラトホテプに見込まれた、チート妄想を持つ者になります。

・祭りにて探索者や参加者を襲撃する鬼役は、参加者の半分の数+1d20匹のムーンビーストと1d3匹のシャンタク鳥になります。他星の精、ビヤーキーや忌まわしき狩人など追加はお好きにどうぞ。神話生物のステータスは基本ルルブ準拠ですが、探索者の能力やダイス目に合わせて調整してくださって構いません。

ムーンビーストの技能値他:《投槍 25%》《槍を突き刺す 50% 1d8+1》《組みつき 70%》《目星 50%》《聞き耳 50%》《追跡 50%》《呪文:無欠の投擲 詠唱1ラウンド後に投槍技能+70%》

シャンタク鳥の技能値他:《噛みつき 55%》《かぎ爪 50% 1d6+db》《目星 25%》《聞き耳 25%》《追跡 70%》

 

【導入】

『 微睡みの中、暗闇であなたは誰かの声を聞く。荒げている声音はあなたに感情をぶつけているようだ。だが、耳を澄ませても言葉は聞き取れない。なぜだ?……ああ、これは夢だ。現実ではない。だから聞き取れなくて当然だ、いやむしろ耳を傾ける必要もない。どうしてかあなたはそう納得してしまった。 』

・探索者はホテルの一室で目を覚まします。直前まで夢を見ていたようだが思い出せません。

・シングルらしい手狭な室内には探索者の持ち物がなぜか放り投げられたように乱雑に散らばっていますが、それらを除けばいたって普通のホテルの部屋です。真新しいユニットバスは普通に使えて電気も通っています。

・窓の外を見れば、眼下には雑居ビルや民家が連なる街並み、遠くに川を眺めることが出来るでしょう。異質なものといえば、道路にまたがる大きな黒い鳥居が見えます。また、外には不思議なことに人の姿や車が見当たりません。

・探索者はどうしてここにいるのか、今まで何をしていたのかがなぜか思い出せません。自分が何者であるかは知っていますが、ここ数日の記憶はありません。

 

【導入後―祭り開始まで】

・部屋の外が騒がしいことに気がつきます。耳を澄ませば、何人かの人々が浮き足立つように楽しげな会話が聞こえました。ドアを開けると、人々がエレベーターを待っているのが見えます。その一人が探索者に気づき、「あんた、まだ寝ていたのか?何やってるんだ、もう祭りの始まる時間だぞ」と笑います。

・人々に従って一階に降りてホテルロビーから外に出ると、老若男女さまざまな人々が黒い鳥居(地図:⑦ビジネスホテルから近い、南から二番目の鳥居)の下に集まりつつあります。

・彼らに尋ねるなり、会話に耳を傾けるなりをして探索者は今の状況を知るでしょう。『鬼ごっこのような祭りがある。この祭りに勝利すれば、山にいる神様がなんでも願いを叶えてくれる。自分たちは幸運にも祭りに参加する権利が与えられた』と。しかし人々はこれ以上の情報を知らないようです、あまつさえこの状況に何の疑問も持っていません。

・昼の12時。南の方角に狼煙が三発上がりました。南からこちらへ走ってくる化け物(ムーンビースト)の群れが見えました(#SANc 0/1d8)。探索者が驚いている横を人々が『祭りが始まった。死にたくなかったら逃げろ!』と散り散りに逃げていきます。上空を大きな影が横切りました、見上げれば大きな翼を持った象のような体躯の化け物(シャンタク鳥)が人々を追うように飛んでいきます(#SANc 0/1d6)。そして、逃げ惑う人々を片っ端から噛みついていきました。探索者の元にも襲われた人間の血が飛び散り、肉が降り注いできます(#SANc 1/1d4+1)。

・祭り開始以降、探索者は行動を起こさなければ即座に死にます。→死亡による【強制イベント】へ。

 

【シナリオの舞台―無人の街】

f:id:guruguru18:20170207195500p:image

・ 便宜上、地図の緑線から上部を山側として、この方角を北とさせていただきます。水色の線が川、太い茶線が国道のような主要道路、細い茶線が市道のような主要道路です。五つの黒い線が大きな黒い鳥居になります。

・街全体として小さな地方都市の一角、山沿いの盆地という印象で構わないです。いちばん南の鳥居から北の山の麓までは歩いて90分かかる距離としています。山道を登るには40分くらいかかるものとしました。

・地図に表記している施設以外、コンビニなどの小売店や民家は町中に点在しているとしても構いません。

北:雑木が生い茂る山がある。山頂に黒い社がある。山道は舗装されているが崖際になっている。黒い社の裏手、山の向こうは切り立った垂直の崖になっていて底が見えない。

東:流れがゆるやかで浅い川があり、堤防沿いには工場地帯が続く。地平線まで続く見通しの良い田園の中にぽつぽつと農業を営む民家がある。東へ真っ直ぐ進むと西の開発途中の新興住宅地に出る。

西:建売のような民家と小さな公園が並ぶ新興住宅地。西向こうは開発途中の新興住宅地の空き地が地平線まで続く。西に真っ直ぐ進むと東の田園に出る。

南:黒い鳥居の先の南の道は全て水没していて、深く霧が立ち込める湖のようで果てはない。

①スーパー&ホームセンター ②総合病院 ③図書館 ④コミュニティセンター ⑤警察署 ⑥消防署 ⑦ビジネスホテル ⑧小学校 ⑨ショッピングモール ⑩倉庫群

・黒い鳥居:周囲の建物より一際大きく、漆が全面に塗られたような漆黒の鳥居。一般的に鳥居は神域と俗世の境であり、門にあたる。*探索者が鳥居に触れると【強制イベント】の白昼夢を見る。

・黒い社:玉石が敷き詰められた境内があり、黒い鳥居同様漆が全面に塗られたような漆黒の神社。*社の中には《呪文:ニャルラトホテプとの接触》のが発動する石板が置かれている。

 

【探索について】

・商業公共施設、民家はどれも真新しく、置いてある家具道具や車などにも使われた形跡はありません。まるでハリボテのようです。探索者は《目星》などでそれに気づき、『祭りのためにこの街が作られたのではないか』と考えてしまいます(#SANc 0/1)。

・探索者は施設の道具商品、食料などを任意で持ち物に加えることが出来ます。

・これら施設、民家などに脱出のヒントは一切ありません。二、三ヶ所の探索後に《アイデア》などで『この空間を作った者はここから脱出させる気がないのではないか』と気づかせてあげてください。

・また、インターネットやテレビ番組から『一夜にして100人以上が同時に失踪した。失踪者は就寝後の部屋から突然姿を消した者も多い、神隠しか』という情報が得られても良いです。

 

【他者・敵との遭遇】

・チートNPC葉山チサトとは早めの合流が無難です。下記遭遇表のいずれかで探索者の助けに入ったり、または逆に探索者から助けられる場面だったりで合流を促すべきでしょう。

・探索中探索後または移動のタイミングで、1d10のムーンビーストとの遭遇表をKPがシークレットダイスで振ってください。その後に探索者に《目星》《聞き耳》のいずれかまたは両方を振らせて、状況判断が出来るかどうかの判定をしてください。その際に探索者にとって不利有利の遭遇具合に応じて、判定にプラマイ修正をお願いします。

1:辺りにムーンビーストの気配はまったくない。→移動に問題はない。

2:少し離れた場所でムーンビーストが1匹、人間の死体を弄んでいるのが見えた。ムーンビーストがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はない。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(ムーンビースト《聞き耳 50−30%》で探索者に気づく)

3:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、人間の死体を弄んでいるのが見えた。ムーンビーストたちがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はない。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《聞き耳 50−30%》で探索者に気づく)

4:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。ムーンビーストたちがこちらを向く様子はない。→移動出来そうだ、多少の音を立てても問題はないが移動ルートは考えたほうが良さそうだ。また、ムーンビーストに不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《目星or聞き耳 50−30%》で探索者を見つける)

5:少し離れた場所でムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。参加者は探索者のいる場所へと逃げてきそうだ。→探索者は移動か隠れるか、早く行動を決めなければならない。多少の音を立てても問題はないが移動ルートは考えたほうが良さそうだ。また、ムーンビーストを待ち伏せて不意打ちを仕掛けることが出来るかもしれない。(各ムーンビースト《目星 50−15%》で探索者を見つける)

6:1匹のムーンビーストに待ち伏せを受ける。→隙をつけば逃走は可能だろう。(逃走の場合、探索者とムーンビーストとのDEX対抗)

7:近くでムーンビーストが1+1d5匹、1d5人の参加者を追い立てている様子が見えた。逃げてくる参加者は探索者に気づいて、「助けてくれ!」と叫んだ。→まだムーンビーストとの距離はあるが、探索者が移動する方向に参加者と追跡するムーンビーストたちもついてくる。(各ムーンビースト《目星 50%》で判定、成功した場合《投槍 25%》を探索者へ仕掛ける)

8:半狂乱の参加者と出くわす。「死にたくない!助けてくれ!」と探索者にすがりついて泣き叫び続ける参加者の声は、近くのムーンビーストたちを呼び寄せる。→探索者は参加者を落ち着かせて、早くその場を離れなければならない。(ムーンビースト《聞き耳 50%》の判定成功により、1+1d5匹のムーンビーストが駆けつける。判定失敗でも1d3ラウンド後にムーンビーストは駆けつける)

9:1+1d5匹のムーンビーストに待ち伏せを受ける。→探索者は戦闘回避不可。隙をつけば逃走は可能かもしれない。(逃走の場合、探索者と各ムーンビーストとのDEX対抗)

0:1d3匹のムーンビーストが探索者へ不意打ちで《呪文:無欠の投擲》を施した《投槍 25+70%》を放ってくる。→探索者は回避不可。《投槍 25+70%》の判定成功で探索者は1d10+1+dbのダメージを受ける。

 ・シャンタク鳥との遭遇については東西南北エリアを1d4で割り振り、探索者のいるエリアにシャンタク鳥がいるかどうかをまず判定してください。さらに探索者の《幸運》で近くにシャンタク鳥がいるかどうか、そしてシャンタク鳥の《目星 25%》で上空から探索者を発見出来るかを判定してください。

探索者を発見した場合、シャンタク鳥は大きく雄叫びのような鳴き声をあげてムーンビーストを1+1d8匹呼び寄せます。シャンタク鳥も《追跡 70%》で探索者を追い立て、上空から強襲を仕掛けてきます。

*シャンタク鳥との遭遇は探索毎移動毎の判定ではなく、エリア移動毎での判定で構いません。シャンタク鳥の目星聞き耳が初期値ですので、少数で行動する探索者は発見される可能性が低くなっています。

 

【時間経過天候変化・戦闘逃走・死亡処理について】

・時間経過や天候変化は各卓のルールでお好きにしていただいて構いません。昼12時から祭りが始まるので、三時間毎に狼煙をあげて時間経過を分かりやすく教えてもいいと思います。また、睡眠による【強制イベント】を促すために空腹や睡眠ペナルティーはきちんと取ってください。

・時間経過による生存者の減少については祭りが始まった昼12時より24時間経過で参加者半数が死亡、さらに24時間経過では半数の半分が死亡、さらに12時間経過で生存者はほぼいないものとしてください。その後、昼12時に再び参加者が同数追加されますので時間経過すればするほどに犠牲者が増えていくかたちになっています。

・戦闘逃走処理はルルブ準拠、各卓の処理にお任せします。ハウスルールで処理していただいて構いませんが、探索者が生き残り過ぎないようお願いいたします。

・死亡処理については、探索者のロールプレイ次第ではありますが意識を失った描写の後に【強制イベント】へ移行してください。【強制イベント】の後に安全な施設内で探索者は目を覚まします。肉体的には全快していますが、死亡した記憶ははっきりと残っているので正気度は減ります(#SANc 1d3/1d8)。

 

【強制イベント】

・強制イベントは探索者が黒い鳥居に触れた時、気絶・死亡により意識を失った時、 睡眠時に起こります。【導入】冒頭の誰かに何かを言われているシーンを白昼夢、幻覚としてより具体的に見聞きすることが出来ます。

・こちらは真相に関するのヒントイベントなので、プレイングによって意識を失うことがない探索者にはタイミングを見計らって脈絡なく強制的に気絶させても構いません。

・探索者に呼びかけているのは探索者自身です、探索者の人間としての意志がこんなところにいてはいけないと無意識下から呼びかけているシーンになります。ですが探索者は自身の異常性に気づいていないうちは他人に呼びかけられる、異常な誰かの記憶を追憶するようなシーンとなるはずです。ニャルラトホテプはこの現象に気づいていますが、より探索者を苦悩させることが出来るだろうと傍観を決め込んでいます。

『「キャハハハハハハ!」暗闇の中、背後から狂った女の笑い声が追いかけてくる。あなたは誰かに手を引かれて、必死に走る。寒気が頰を掠めた。恐る恐る見やると肩越しに女の赤髪がさらりと揺らめき、紅色の唇がぬるりとカタチを変えた。「どうして逃げるの?」「私はあなたのためにここにいるのに」「ねえ、どうして?」「あなたが私を呼んでくれたんでしょう?」あなたは手を引かれて逃げ続ける。赤い女はあなたをどこまでも追い続ける。―――そこで目が覚めた。』

『ここはいつもの高架下だ。あなたは電車が走り去るけたたましい音の中にたたずんでいる。白色蛍光灯の下、灰色のコンクリートの壁には大きく書き殴られた赤い文字があった。あなたは右を見る。“何をしている?”あなたは左を見る。“そんなに楽しいのか?”あなたは正面を見る。目の前に立っている黒い人影が真っ赤な口を開いて、怒声をあげた。「おまえはいつまでそこにいる気だ!!」―――そこで目が覚めた。』

『気がつくと、あなたは見覚えのない部屋にいる。パソコンの薄明かりに映るのは至る所に書籍が積み重なる、窓のない部屋だ。あなたは机の明かりを頼りに本を一心不乱に読んでいる。しかし手元にある本は外国語で書かれているらしく、あなたにはまるで意味がつかめない……はずだった。自分にはこの意味が分かる、読める、理解出来る。それもそのはずだ!ここまで至るのにどれだけ苦労したことか!ようやく、ようやく夢を叶えられる!!―――そこで目が覚めた。』

『あなたは広い部屋の中に立っている。手には古い本、書き殴られた資料。足元には意味不明な記号や文字が連なった真っ赤な円陣。まるで映画のセットのような、作り物じみたシチュエーションだった。だがこれが正解のはずだ。詠唱する唇が震えていたのは最初だけで、あとは取り憑かれたようにその名を口にする。「いあ!いあ!ニャルラトホテプ!!」―――そこで目が覚めた。』

『ここはいつもの高架下だ。あなたは電車が走り去るけたたましい音の中にたたずんでいる。白色蛍光灯の下、灰色のコンクリートの壁には大きく書き殴られた赤い文字があった。あなたは右を見る。“夢が叶った気分はどうだ?”あなたは左を見る。“化け物殺しがそんなに楽しいか?”あなたは正面を見る。目の前に立っている黒い人影が真っ赤な口を開いて、怒声をあげた。「おまえはヒーローなんかじゃない!!」―――そこで目が覚めた。』

 

【黒い社に到着―ニャルラトホテプとの対面】

 ・黒い社にムーンビーストらはいません、静まり返っています。社本殿の中に入ると白い明かりがぽつぽつと灯っていて、あとはがらんどうに見えます。中央に一抱えほどある石板が置かれていて、石板には日本語で『親愛なる友人へ』と文字が彫られています。

・石板の文字を読むと、《呪文:ニャルラトホテプとの接触》が発動します(代償:1POW+SAN1d6)。《幸運》ロールは必要ありません、かの神はこの地で探索者を待っていました。

・探索者が石板から顔を上げると、ニャルラトホテプが目の前にいます。かの神は人間の姿をしていて、探索者が何を言っても友人扱いをやめないでしょう。

「この街はどうだ?」「楽しかったか?」「何か足りないものがあるなら言ってくれ」「友人のキミの頼みだ、いくらでも譲歩しよう」「不満そうな顔をしているな、どうした?」「だって、楽しかっただろう?」「キミの望む通りの力を手に入れて遊んだんだ、面白かろう?」「死んで生き返った気分はどうだ?実に昂ぶっただろう?」「ムーンビーストたちを殺して勝って、嬉しかっただろう?」「なあ、聞いているのか。私はキミに言っているんだぞ、プレイヤー!!」

*KPはニャルラトホテプの代弁者として、徐々に探索者→PLに向かって語りかけを移行していってください。揶揄が通じるPL相手でしたら、今回の探索者の行動や戦闘を多少揶揄するように面白おかしく感想を述べてもいいと思います。

・PLのリアル正気度を十二分に削ったところで、探索者に『チート能力を棄てて現実に還る』か『この町に残り、チート探索者を続ける』かを選択させてください。ニャルラトホテプはどちらの選択も探索者の願いとして受け入れます。

 

【シナリオクリア―エピローグ】

 ・無人の町に残った場合:『ホテルの室内であなたは再び目覚める。もちろん記憶はある。そして、誰も邪魔するものはいない。部屋の外はがやがやと騒がしく、新たな参加者たちが祭りの始まりを今か今かと待ちわびているようだ。あなたもまた逸る気持ちを早足に変えて、黒い鳥居の元へ向かうのだろう。』

・現実に還った場合:『あなたは病室で目を覚ます。そして神隠しだと騒がれた集団行方不明事件の結末を知ることになるだろう、行方不明者たちの無惨な死体が次々と発見されていることを。あなたは唯一の生存者として、一時期矢面に立たされる。だが閉ざされた町で行なわれたあの残虐な祭りについて、あなたは語る言葉を持っているのだろうか。あなたのせいで、あなたのために彼らは殺されたのに―――。』

 

【シナリオクリア報酬】

*共通

・《クトゥルフ神話技能》+25%

・《呪文:ニャルラトホテプとの接触》取得

・《魔導書:ネクロノミコン(ラテン語版)》所持 (探索者が真相を理解している場合、魔導書を熟読し研究した記憶も所持。#SANc 1d10/1d20)

・各技能成長

無人の町に残った場合

・正気度回復 SAN1d8+2 (自身の望みを叶えていることに対して)

・正気度を回復させた上で、正気度をPLの任意で増減させてください。任意の不定の狂気を発症してもいいです。(異空間に居続けることに対して)

*現実に還った場合

・正気度回復 SAN1d10+1 (異常な空間から脱したことに対して)

・真相を理解している場合は、正気度を回復させた上でさらに正気度をPLの任意で増減させてください。任意の不定の狂気を発症してもいいです。(自身の行いのせいで多数の犠牲者を出したことに対して)

 

 【あとがき】

お疲れ様でした。これにて、クトゥルフ神話TRPGシナリオ〈異常を認識できない異常〉は終了となります。初心者の作った雑で拙いシナリオではありますが、ご利用いただければ幸いです。

 

*改変はご自由にどうぞ。改変後改変前問わず、当シナリオの自作発言・無断再配布は厳禁です。

*リプレイ化もご自由にどうぞ。ただしシナリオの出展明記は必ずお願いします。リンク表記は任意で構いませんが、シナリオタイトルとシナリオ製作者名の明記だけは徹底してください。

 *掲載画像(地図)は当シナリオ利用セッションでのみ、引用転載可とさせていただきます。他用途には使用出来ませんのでご注意ください。

 

2017/02/08 シナリオ〈異常を認識できない異常〉公開